2003 Fiscal Year Annual Research Report
人為的活動により環境中に放出された水銀の挙動とその周辺環境への影響評価
Project/Area Number |
15404003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60217552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 国際研究部, 主任研究員
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
宮本 旬子 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40244222)
大木 公彦 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90041235)
赤木 洋勝 国立水俣病総合研究センター, 国際研究部, 特別研究員 (30083744)
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Keywords | 水銀 / 鉱山 / スペシエーション / 河川水 / 底質 / 土壌 / 国際研究者交流 / スロベニア |
Research Abstract |
研究期間3年間の初年度となる今年の当初研究計画は、1.手法の相互比較による水銀定量法の信頼性評価、2.研究対象地の概観の把握と試料採取地点の設定、であった。 平成15年10月14日から24日、スロベニアでの調査を実施した。水銀鉱山地域を流れるイドリヤ川に沿って約4km間隔に設定した4定点から、河川水、土壌、底質、植物、大気の採取を行った。水銀分析は主として海外共同研究者Milena Horvat博士の所属するJozef Stefan研究所において行った。手法の信頼性評価も同時に行い、スロベニア側の手法が極めて高感度で、優れた手法であることが確認された。河川水に対し、反応活性水銀、金属水銀、メチル水銀、総水銀の測定を行ったところ、水銀鉱山に近い採取点が、いずれの化学形の水銀濃度も最も高いことが示された。しかし、メチル水銀の含有率を見ると他の地点に比べ最も低く鉱山から無機形の水銀が流入していること、それが環境中でメチル化されていることが示唆された。底質、沿岸土壌においても河川水とほぼ同様の傾向が見られた。河川から数十mはなれた森林中において採取した土壌中の濃度もかなり高く、水銀の移動が、河川水のみによるものではないことも示された。水銀の大気輸送が可能性として最も考えられるが、鉱山跡地から離れた採取地点で今回測定された大気中水銀濃度はそれほど高くなく、森林土壌中の高い水銀濃度がどのような経路によって起こったのかについては今後の検討課題となろう。持ち帰った土壌試料については、蛍光X線分析装置を用いて水銀以外の金属の分布について測定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)