2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の歯のESR線量計測による旧ソ連放射性核種汚染地域の被曝線量の地域分布
Project/Area Number |
15405006
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
豊田 新 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (40207650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
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Keywords | ESR / ヒドロキシアパタイト / 歯 / 被曝線量 / 事故放射線 / ウラル / セミパラチンスク |
Research Abstract |
原子炉や廃棄物処理施設の事故、また核実験によって環境に放出された放射性核種による被曝は、特に旧ソ連において深刻な健康被害を引き起こした。ここでは、最も基本となる線量評価はきわめて重要な測定量である。歯のエナメル質を電子スピン共鳴によって計測して被曝線量を求める方法が正確で有効である。しかし、人の歯は常には入手可能ではないので、本研究では、哺乳動物の歯を用いる。そして、これらの試料の電子スピン共鳴線量計測により、汚染地域における現在の被曝線量の線量分布を求め、疫学調査の結果と対応させることを最終的な目的とする。 ウラルの核事故による汚染地域から採取していた試料について、イメージングプレートによって、牛の歯に取り込まれた^<90>Sr濃度及びその分布の計測、土壌汚染レベルとの対応を調べた。^<90>Sr濃度の、歯全体の平均濃度については、土壌汚染レベル毎に平均を取ると、引き続き、非常によい相関が見られた。しかし、同じレベルの汚染地域から採取されたにもかかわらず、大きなばらつきが見られる。食餌に供する牧草に含まれる^<90>Sr濃度との対応を調査しようとしたが、現時点ではそれに十分な食餌記録は残念ながら得られなかった。エナメル部分を用いたESR被曝線量計測については、昨年度得られた最適な化学処理条件を用いて歯のエナメル質を抽出し、ESRによって線量計測を行った。予備的な値として、最大200mGyという値が得られたが、検討の余地がある。 旧ソ連のセミパラチンスク核実験場周辺の牧畜地帯から採取された試料については、現地調査によってバックグラウンドから有意に高い環境放射線量は検出されなかったにもかかわらず、数Bq/g程度の^<90>Sr濃度をもつ牛の歯が検出された。現地でのこれまでの調査でも、高い土壌汚染濃度は検出されていない。これが何に起因するかについては、現時点まででは同定することができなかった。
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Research Products
(3 results)