2005 Fiscal Year Annual Research Report
瀕危シカ類;タリムアカシカおよびクチジロジカの保護区設立のための保全生物学的研究
Project/Area Number |
15405007
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
大泰司 紀之 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (50001532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教授 (00347767)
鈴木 正嗣 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90216440)
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Keywords | タリムアカシカ / クチジロジカ / 保護区 / タリム川 / チェルチェン川 |
Research Abstract |
タリムアカシカについては、チェルチェン個体群の保護区計画を、2007年度から発足させるべく準備を進めた。 第9回国際哺乳類学会において、タリムアカシカとその生息環境の危機的状況について発表した。クチジロジカとあわせて議論した結果、2008年9月にイタリアで行われる第1回国際シカ(Cervus)属学会において、両種についてさらに討論を進めることになり、大泰司はそのScientific Committeeのメンバーとなった。 チベット高原におけるクチジロジカの現況を知り、保護区に関する調査計画を立案するための打合せを、現地で行った。その結果、四川省甘孜チベット族自治州においては、1986年大泰司らが調査を実施した折には5000頭前後と見積もられたが、現在は倍増して約1万頭になったものと考えられた。調査がきっかけとなって、袋角の購入が中止されたこと、保護区が作られたことなどによる。 クチジロジカは絶滅の危機を脱したため、クチジロジカ保護を目的とした保護区の整備は必要なくなった。しかし、世界的に貴重なチベット高原の生物多様性保全は憂慮すべき状況にある。特にゴルムド〜ラサ間の同高原横断鉄道の新設と現在の道路の高速道路化は、チベットガゼル、チルーなど稀少大型哺乳類に悪影響をもたらし、昆虫や植物種子の他からの持ち込みによる生態系の撹乱が問題となる。 同高原の典型的な地域を世界自然遺産に登録して、国際監視の下に保全する必要があるため、来年度の調査はその目的で行うこととした。横断鉄道および高速道路については、その環境影響評価およびモニタリングを担当している西北瀕危動物研究所と共同で調査計画を作成すること、国際的に関心(批判)が高いため同研究所と共催の国際シンポジウムを開くこととした。
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Research Products
(2 results)