2006 Fiscal Year Annual Research Report
瀕危シカ類;タリムアカシカおよびクチジロジカの保護区設立のための保全生物学的研究
Project/Area Number |
15405007
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
大泰司 紀之 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (50001532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (00347767)
鈴木 正嗣 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (90216440)
布和 敖斯尓 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教授 (80438366)
梶 光一 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70436674)
武田 雅也 北海道大学, 文学部, 教授 (40216908)
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Keywords | タリムアカシカ / クチジロジカ / タリム盆地 / チェルチェン保護区 / チベット高原 / チベット高原横断鉄道 / 種の多様性保全 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
タリムアカシカについては、昨年度に引き続き、チェルチェン個体群の保護区計画を2007年度から発足させるべく準備を進めた。 クチジロジカについては、われわれの努力により絶滅のおそれがなくなった。そこで本種を含むチベット高原の典型的な地域を世界自然遺産に登録して、国際監視の下に保全する必要があるため、中国側共同研究者(主として四川省林業庁関係者)とその方針について協議を進めた。クチジロジカ生息地を含む地域を横断するチベット高原鉄道対策が緊急の案件として浮上したため、今年度はその対策にも取り組んだ。 2006年7月から青海省のゴルムトとチベットのラサを結ぶ鉄道が新たに開通して、青海省の首都西寧市とチベットの首都ラサまでを結ぶ青藏鉄道(チベット高原横断鉄道)が完成した。チベット高原は独特な高原寒冷地帯の生態系からなり、同高原特産の野生ヤクやチルー、クチジロジカなどの野生動物の大群が生息し、広大な保護区となっている。自然保護区の中央を走る同鉄道はツンドラ地帯での鉄道の沈下を防ぐために高さ約10mの堤を設けて作られているため、多くの野生動物の生息地や移動経路が分断されることになると予測される。 野生動物の通行を保障するためとして33カ所のアンダーパスが設けられており、多くは鉄橋が利用され、そこまで動物を誘導する柵が設けられているが、その合理性と利用についてはまだ明らかにされていない。 われわれは、中国の研究所と共同して、同鉄道の野生動物に対する影響評価のプロジェクトを立ち上げるため、2006年8月にチベット高原で調査を行い、中国林業部西北頻危動物研究所(陜西省西安市)・中国科学院西北高原生物研究所(青海省西寧市)、及び中国林業局との連携を確認し、チベット高原の調査を共同で実施することに合意、契約書を交わした。
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Research Products
(4 results)