2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15405008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 晃 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (30111165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 誠一 岐阜経済大学, 経済学部, 教授 (50308657)
岩田 明久 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究科, 助教授 (20303878)
酒井 治己 水産大学校, 生物生産学科, 助教授
山崎 裕治 冨山大学, 理学部, 助手 (30332654)
渡辺 勝敏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00324955)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 淡水魚類相 / 遺伝的多様性 / 種多様性 / 生活史・行動進化 / 系統地理 / 種分化機構 / 生物多様性形成史 |
Research Abstract |
日本列島を含む極東アジアにおける淡水魚類の遺伝的・生態的多様性の実態を把握し・その起源と進化プロセスを考察する目的で、カザフスタン共和国のオビ川上流域で生息魚類調査を行い、その後に日本のサンプルを加えて遺伝的解析を行い、以下に記す興味ある知見を得た。 1)オビ川上流域の8地点での調査によって、7科18種の魚類が採集された。採集魚種の中には、シベリアヤツメ(Lethenteron kessleri)、キンブナ、ヨーロッパブナ、Phoxinus phoxinus、Cottus sibiricus、C.poecilopus altaiensisなどの研究対象魚種が含まれた。 2)オビ川上流域のシベリアヤツメは、アロザイム解析とmtDNA解析の結果、本種の原記載地であるアムール川上流域から採集されたスナヤツメ(L.reissneri)と遺伝的差異が極めて小さく、L.reissneriの地方個体群であることが示唆された。 3)オビ川で採集されたフナ類は、モルフォメトリーによってギンブナ2型とヨーロッパブナの3グループに区別された。各グループとも赤血球サイズに多峰型頻度分布を示し、倍数性変異の存在が推測された。また、グループ内にmtDNAハプロタイプを共有する個体が検出されたことから、クローンが内在すると考えられた。 4)コイ科タカハヤの周日本海地域における遺伝的分化をmtDNA塩基配列解析した結果、アムール川水系とウラジオストク周辺の集団が同一のクラスターに含まれ、過去に遺伝子移入が生じたことを示唆した。韓国と日本の集団は同一グループを形成し、後者は末端のクラスターに位置したため、朝鮮半島を経て日本に侵入した一部の集団が分散したと推測された。 5)北海道東部において同所的に分布する遺伝的に異なるイトヨ個体群を対象に、これらの個体群間で求愛行動を上方からの新視点で記録した。個体群間比較を行動軌跡や個体間距離などで定量化し、生殖的隔離としての行動学的差異の程度・強度を解析した。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Goto Akira: "Migratory history of three types of Cottus pollux (small-egg, middle-egg and large-egg types), as revealed by otolith microchemistry"Ichthyological Research. 50・1. 67-72 (2003)
-
[Publications] Takahashi Hiroshi: "Population structure of two ecologically distinct forms of ninespine stickleback, Pungitius pungitius"Can.J.Fish.Aquat.Sci.. 60・4. 421-432 (2003)
-
[Publications] Yamazaki Yuji: "Mitochondrial DNA sequence divergence between two cryptic species of genus Lethenteron, with reference to improved identification method"Journal of Fish Biology. 62・3. 591-609 (2003)
-
[Publications] Watanabe Katsutoshi: "Genetic population structure of Japanese bagrid catfishes"Ichthyological Research. 50・2. 140-148 (2003)
-
[Publications] Iguchi Kei'ichiro: "Morphological and genetic analysis of fish of a Carrassius complex Cyprinidae) in Lake Kasumigaura with regerence to the taxonomic status of two all-female triploid morphs"Biological J.Linnean Society. 79・2. 351-357 (2003)
-
[Publications] Sato Mitsuaki: "Kuhli boninensis (Fowler, 1907), a junior synonym of Kuhlia munda (De Vis, 1884) (Perciformes : Kuhliidae)"Ichthyological Research. 51・1. 70-72 (2004)
-
[Publications] 後藤 晃(編著): "トゲウオの自然史-多様性の謎とその保全"北海道大学図書刊行会. 278 (2003)