2006 Fiscal Year Annual Research Report
高緯度北極域陸上生態系における炭素循環の時空間的変動の機構解明と将来予測
Project/Area Number |
15405012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中坪 孝之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (10198137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 啓史 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (70099935)
小泉 博 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50303516)
大塚 俊之 茨城大学, 理学部, 助教授 (90272351)
村岡 裕由 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (20397318)
内田 雅己 国立極地研究所, 研究教育系, 助手 (70370096)
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Keywords | 高緯度北極 / 炭素循環 / 氷河後退域 / 植生分布 / 光合成 / 反射スペクトル / NDVI / 微生物 |
Research Abstract |
最終年度にあたる18年度は、2名(村岡と研究協力者1名)が高緯度北極スバールバールに滞在し、炭素収支における植物の生理生態学的役割を定量的に評価し、かつ、これまでのプロットスケールでの理解を空間的にスケーリングすることを目的として調査を行った。主な成果は以下のとおりである。 1、調査エリアを代表する3種の維管束植物の光合成速度および光化学系IIの電子伝達速度の光反応を室内で調べた。その結果、光合成速度は葉の窒素含量を反映して種間で異なるが、電子伝達速度は同程度であることが示された。これまでに行われた植生分布調査と本研究の結果により、当地域のツンドラ生態系では土壌からの栄養塩供給量と種ごとの栄養塩吸収能力が葉の光合成能力と種分布様式、さらには生態系のCO_2吸収能力の空間パターンを規定することが示唆された。 2、広範囲の植生分布の把握には衛星リモートセンシング観測が有効であるが,そのためには観測対象とする植生が反射する光の波長パターンとバイオマス(あるいは植生被度)との関係の把握が必要である。携帯型分光放射計による地表面の反射スペクトル計測と写真画像解析による植生被度評価を行った結果,最も一般的な植生指標であるNDVIにより,当地域の植生被度を70%程度の精度で調査可能であることが示された。 3、土壌深層の炭素動態における微生物の役割を調べる目的で、地表面下20cm以深から土壌を採取し、ATP法により微生物バイオマスの測定を行った。その結果、深層土壌においても微生物が存在することが確認されたが、土壌有機炭素に対する微生物バイオマスの割合は小さいものと推定された。 4、これまでに得られたデータをもとに、高緯度北極陸上生態系の炭素循環モデルを構築し、その有効性について検討した。
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Research Products
(2 results)