2004 Fiscal Year Annual Research Report
高度耐塩性雑草による熱帯塩類集積土壌及び植生環境修復特性の解析
Project/Area Number |
15405019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臼井 健二 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (80087585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 勝一郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (40087606)
松本 宏 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10199888)
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Keywords | 塩類集積土壌 / 耐塩性 / 雑草 / 塩類濃含量 / 修復 / 抗酸化系 / サリチル酸 / 土壌水分 |
Research Abstract |
昨年度に引きつづき、タイ国研究者との共同研究により、タイ国東北部の塩類集積地域において、中程度の集積土壌として設置した実験圃場(P圃場)ならびに塩類集積程度が高い圃場(K圃場)において、数種耐塩性雑草の栽培を継続し、それぞれの雑草栽培による修復程度を検討した。一方、実験室においては、イネおよびヒエ類などの各種植物を供試し、耐塩性機構に関する基礎的研究を実施した。得られた成果の概要は以下のように要約される。 1.P圃場においては、雨季および乾季ともに、いずれの雑草栽培区においても、昨年に比べて、土壌水分含量の保持やNaなどの塩類含量の低下などの修復効果の促進が認められた。しかし、雑草間で修復程度が異なり、また、こうした修復効果は、植物体地上部による土壌被覆程度と密接に関連していた。K圃場では、雨季においては、昨年に比べ、いずれの雑草栽培区においても、対照区Na集積量の著しい減少や、土壌水分含量の増加等の修復効果の促進が確認された。これらの結果は、雑草を利用した塩類集積土壌の修復は、土壌表面からの水分蒸発の抑制を主因として発現していると想定された。なお、乾季においては、極端な乾燥が続いたため、ほとんどの雑草が枯死に至り、雨季における回復が懸念された。 2.イネ品種間における耐塩性には、アンモニア蓄積量が支配要因となっていることなど、塩類による植物生育障害は、窒素代謝の変動により発生するアンモニア生成が密接に関与していることが明らかにされた。また、植物の耐塩性には、Naの体内濃度を低下させる機能と共に塩ストレスによって発生する活性酸素を消去する抗酸化系酵素の活性が重要な役割を果たしており、後者においては、サリチル酸がシグナル物質として関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)