2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15405030
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 実 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70050680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 敏康 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90167700)
中野 俊樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10217797)
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Keywords | 魚類 / ヒスタミン / ヒスタミン中毒 / アレルギー様食中毒 / ヒスタミンチェッカー / 衛生管理 / サバ科魚類 / HACCP |
Research Abstract |
今年度は、海外市場での試料採取分析を行うと共に、非凍結状態すなわち氷蔵状態で水揚げされるメバチおよびメカジキについて、水揚時から流通過程中でのヒスタミン生成について分析を行った。 海外市場調査では、わが国への水産物輸出実績の高い米国とポルトガルを選び、それぞれニューヨーク、リスボンに出向いて魚類ヒスタミン調査を行った。アメリカ・ニューヨークでは、ブロンクス区ハンツポイントに移築開設された新フルトン市場および南部マンハッタン地区チャイナタウンの魚店で計35種類の鮮魚、干物を購入した。また、リスボンではリベイラ市場、ナザレではナザレ市場で同様に合計20試料を購入した。結果として、いずれの水産物でもヒスタミンは検出限界以下(15ppm以下)であった。両都市とも冬季のサンプリングであったのに加え、店先でも氷蔵管理されており、衛生管理がしっかりなされていたことがヒスタミン生成・蓄積がおきなかった原因と思われる。 氷蔵メバチおよびメカジキの分析は、三陸沖中部太平洋海域で採取されたものを(独)水産総合研究センター・開発調査センターから分与していただいたものを用いた。メバチ・メカジキは漁獲直後に船上でエラ、内臓を取り除いた後、粉砕氷で氷蔵しながら宮城県気仙沼港に搬送したものである。漁獲後からの経過日数は8日目、9日目、14日目、16日目、18日目、19日目、26日目および31日目のものである。水揚げ直後のいずれの試料(漁獲から8日から31日経過したもの)からもヒスタミンは検出されなかった。このことは、魚肉に傷を付けない状態では魚肉内部は無菌状態であると推察され、ヒスタミンの生成も起こらなかったと考えられる。その後、解体したメバチ・メカジキ魚肉を4℃で貯蔵し、ヒスタミンの生成・蓄積を観察した。メバチの普通筋では、貯蔵3日目まではヒスタミンは検出されなかったが、6日目には極微量(1.5〜6.3ppm)のヒスタミンが認められた。9日目にはほとんどの試料でヒスタミンが10ppm〜800ppm認められた。9日目のヒスタミン濃度は漁獲からの経過日数10日未満の試料では一試料を除き200ppm以下であるのに対し、漁獲からの経過日数が15日以上の試料ではヒスタミン濃度は全般に高く、800ppmを超す例も見られた。この理由として、漁獲からの経過日数が長くなるにつれ、魚肉組織が脆弱になり微生物の成育が容易になりヒスタミンの生成・蓄積がおきやすくなると推察される。メバチの血合筋は普通筋に比較してヒスタミンの生成がやや少ない傾向が認められた。マカジキ普通筋は貯蔵9日目までヒスタミンの生成・蓄積は認められなかったが、血合筋で微量(5〜30ppm)ながらヒスタミンの生成が認められた。 以上より、解体したマグロ類はヒスタミン汚染の危険性が増すことより貯蔵温度に注意し、速やかに消費すべきと言える。また、メカジキは血合筋でのヒスタミン生成が活発であり、早期に血合筋を除去すべきである。
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Research Products
(6 results)