2005 Fiscal Year Annual Research Report
北欧のオルタナティブファーミングに見る21世紀型人間家畜共生システム
Project/Area Number |
15405032
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷田 創 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (20197528)
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Keywords | オルタナティブ農業 / オーガニック農業 / バイオダイナミクス農業 / ノルウェー / 北欧 / 家畜福祉 |
Research Abstract |
スウェーデンやデンマークと同様に、ノルウェーでも、有機農業に対する関心が高まりつつある。しかし、3ヵ国の間にはいくぶんの温度差があり、一説によると、ノルウェーはオーガニック分野においてデンマークの8年後を追っているとも言われている。ノルウェーは、天候や地形条件が農業に適しておらず、国家における農業分野の経済的位置は低い。また、農地全体に占めるオーガニック農地と農家全体に占めるオーガニック農家の割合は、スウェーデンやデンマークに比べて非常に小さい。さらに、オルタナティブ農業の中でも、特にバイオダイナミクス農業への傾倒が特徴的である。他のスカンディナビア諸国よりもノルウェーのオーガニック農業の発展が遅れている背景には、1)他のヨーロッパ諸国が経験しているような、食品の問題(BSEなど)や、農業によって引き起こされた深刻な環境問題が起きていないこと、2)地理的、気候的条件から小規模の農業しか行えなかったこと(集約的ではあり得なかった)がある。また、ノルウェーの消費者はそもそも、国内の農業に高い信頼を置いており、国内で生産された農産物の品質を非常に高く評価している。現在でも、ノルウェーの農産物は"almost organic(オーガニック農産物とほぼ同じもの)"であると見なしている消費者が多いと言われている。ノルウェーのオーガニック農業は、ルドルフ・シュタイナーが提唱したバイオダイナミクス農業を1930年代に取り入れたことから始まったと言われているが、1970年代まで、オーガニック農家はほとんど存在しなかった。また、このような歴史的背景から、最近までノルウェーのオーガニック農家の大半がバイオダイナミクス農家であった。1960年代になると、徐々に環境問題への市民の関心が高まり、それとともにオーガニック農家の数が増加し、1986年にはDebioにより19戸の農家が最初のオーガニック農家として認可されている。
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Research Products
(1 results)