2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15405035
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
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Keywords | 牛レンチウイルス / 牛レトロウイルス / 腫瘍壊死因子 |
Research Abstract |
本年は、中国シンジャン(新彊)・ウイグル自治区を調査した。シンジャン(新彊)大学生命科学技術学院のマハトム・ハリク氏の学生と一緒にシンジャン(新彊)・ウイグル自治区で採材した。この地方は羊が主体であり、牛はあまり採材できなかった。羊78検体、牛は12検体が得られた。採材した動物はすべて臨床的には健康な動物であった。材料は乾燥濾紙で得た血清と全血から抽出したDNAである。羊・牛の血清からウェスタン・ブロット法で牛レンチウイルス(BIV)抗体を検出したが全例陰性であった。一方、抽出DNAを用いてBIVのpolを増幅するPCRを実施したが、非特異反応と思われる3件があったが、すべて陰性と判定された。今回の検査ではシンジャン(新彊)地区からBIV陽性例は得られなかった。 牛レトロウイルス(BLV)の伝播ならびに感染動物での腫瘍壊死因子(TNFα)の発現についても調べた。まず、レトロウイルスであるBLVの陽性率が37.5%を示した牧場の感染牛42頭について、個体ごとの感染レベルを細胞DNAから検出されるプロウイルス量によって評価した。その結果、顕著に高いプロウイルス量を示す4頭の感染牛を確認し、6ヵ月後の再調査で非感染牛の13.3%にBLVの陽転が認められた。すなわち、プロウイルス量の高い牛を介して牧場内で水平伝播される可能性が示唆された。 BLV実験感染羊を用いて、ウイルス感染細胞の増殖性と宿主免疫応答との関連について検討した。同量のBLVで攻撃したにも関わらず、羊は個体によって異なるウイルス増殖性を示した。BLV増殖に対して抵抗性を示した羊では、攻撃後2週目に顕著なインターフェロン(IFN)-γの高発現が認められた。また、Bリンパ球増多症を呈する羊由来B細胞でのTNFαの発現亢進が認められ、本因子の病態進行への関与が示唆された。
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Research Products
(3 results)