2003 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連のプルトニウム吸入作業者とトロトラスト症患者の病理学的比較
Project/Area Number |
15406010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 雄一 (財)癌研究会, 癌研究所, 主任研究員 (80222975)
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Keywords | 放射線発癌 / プルトニウム / トロトラスト / 内部被ばく / ヒト / 肝 / 血管肉腫 / α線 |
Research Abstract |
第二次大戦中に使用された血管造影剤トロトラスト被注入患者は、α線の長期暴露によって肝癌を発症する。組織学的分類は肝内胆管癌・血管肉腫・肝細胞癌がほぼ同数である。ロシア・チェリアビンスク州には旧ソ連のプルトニウム(Pu)製造工場であるマヤクがあり、多くの若い労働者がPu被ばくに遭った。肺から吸引されたにも拘わらず、肝癌を発症することが明らかとなった。両者の発癌の分子機構を明らかにすることはヒトにおける放射線の発癌機構の解明につながる。ロシア南ウラル生物物理研究所(SUBI)にマヤク被災者の解剖例の試料、約500例が整然と保管されている。SUBIのセルゲイ所長と電子メールでやりとりし、平成15年9月に同所を訪問予定であった。しかし、チェチェン武装勢力の標的のひとつであるという理由でビザの発給が遅れ、平成16年1月に訪問し、同所に保管されているパラフィン包埋ブロックを入手した。内訳は肝内胆管癌6例、肝細胞癌9例、血管肉腫11例についての癌部と非癌部の症例である。SUBIにおいて多くの議論をしたが、最も興味深かった事実は、Puの被ばく線量が2Gy以下では全て肝細胞癌であり、飲酒によることが考えられる。血管肉腫は2Gy以上でないと発症しないこと、高線量被ばくでは血管肉腫が多数であるが、胆管細胞癌は比較的少数であることであった。以上から血管肉腫は放射線発癌の指標腫瘍であると結論される。今後、持ち帰った標本について、トロトラスト症血管肉腫とヘテロ接合性の消失や遺伝子不安定性を比較する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyashita H, Fukumoto M et al.: "Pin1 is overexpressed in oral squamous cell carcinoma and its levels correlate with cyclin D1 overexpression"Oncol Report. 10. 455-461 (2003)
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[Publications] Jang J, Fukumoto M et al.: "Malgun(clear)cell change in Helicobacter pylori gastritis reflects epithelial genomic damege and repair"Am J Pathol. 162(4). 1203-1211 (2003)
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[Publications] Kono K, Fukumoto M et al.: "In vitro growth suppression of human glioma cells by a 16-mer oligopeptide : a potential new treatment modality for malignant glioma"J Neurooncol. 63(2). 163-171 (2003)
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[Publications] Nakayama S, Fukumoto M et al.: "Allelotypes as potential prognostic markers in ovarian carcinoma treated with cisplatin-based chemotherapy"Int J Mol Med. 11(5). 621-625 (2003)
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[Publications] 福本 学 他: "放射線治療後の二次癌"放射線生物研究. 38(4). 421-435 (2003)
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[Publications] Liu D, Fukumoto M et al.: "Allelotypic characteristics of Thorotrast-induced intrahepatic cholan giocarcinoma : comparison to non-Thorotrast-associated liver cancers"Radiat Res. 161. 235-243 (2004)