Research Abstract |
試料の収集:平成15年度に引き続き、日本およびアジア諸地域における試料の収集を行った.鹿児島大学付属病院,韓国国立がんセンター病理部門の協力を得て,倫理審査の上,肺癌,食道癌の病理組織ブロックをそれぞれ30例程度,各施設より収集した.韓国国立がんセンターについては,研究代表者,深山および研究分担者,後藤が現地にて検索に適切な症例の選定を行った.岡山大学附属病院にても,当該研究につき倫理委員会の承認が得られており,現在病理組織ブロックの選定を行っている. HPVの検出:wide spectrum HPV probeを用いたin situ hybridization法により,平成15年度および平成16年度に各施設より収集した肺癌,食道癌におけるHPVの検出を施行した.その結果,肺癌については,台湾(台中・彰化基督教医院)4例(6.2%),沖縄(浦添総合病院)1例(7.1%),東京(東京大学付属病院)2例(4.5%)でHPVを検出した.高知(高知大学付属病院),鹿児島(鹿児島大学付属病院)は0例であった.食道癌については,台湾2例(6.4%),鹿児島6例(20.7%),東京1例(4.3%)にHPVを検出した.沖縄,高知は0例であった.このように,肺癌,食道癌でのHPV感染に地域差が示唆されたほか,鹿児島におけるように,同一地域でも,癌の部位によりHPV感染率に差がみられた.さらに,同一検体について,平成15年度に開発したレーザーキャプチャーマイクロスコピーとPCRの組み合わせた高精度HPV検出法によるHPV検出,型決定を進めている.
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