Research Abstract |
HPVの検出:昨年度に引き続き,日本(東京,高知,鹿児島,沖縄),および台湾,韓国で収集された食道癌(全て扁平上皮癌,総計146例),肺扁平上皮癌(127例),肺腺癌(81例)について,in situ hybridization (ISH)によってHPVの検出を行った.Wide Spectrum HPV Probe (Dako)を用いたISHでは,食道癌12例,肺扁平上皮癌5例,肺腺癌5例が陽性であった. さらに同一症例に対し,ホルマリン固定パラフィン包埋切片よりDNAを抽出し,PCRによるHPV検出を行った.PCRはコンセンサスプライマー(GP5+GP6+)を用いた.食道癌7例,肺扁平上皮癌8例,肺腺癌5例が陽性であった. ISHとPCRの結果を比較すると,ISH(-)/PCR(-),ISH(-)/PCR(+),ISH(+)/PCR(-),ISH(+)/PCR(+)の症例はそれぞれ,322例,7例,9例,13例であり,比較的良好な一致率をみた(95%). ISH,PCRいずれか陽性の症例を陽性として,地域差について検討すると,食道癌では,東京1/23,高知0/20,鹿児島7/29,沖縄0/3,台湾2/31,韓国3/40であり,肺扁平上皮癌では,東京1/22,高知1/10,鹿児島2/25,沖縄1/5,台湾3/35,韓国0/28,肺腺癌は,東京0/21,高知1/10,沖縄1/9,台湾4/30,韓国2/9であった. 以上,何れの癌においても低頻度ではあるがHPV感染が認められ,日本国内では,鹿児島県の食道癌で高率であった. 試料の収集:国立シンガポール大学より子宮頚部異形成の切片の提供を受け,同大学における病理検体の固定,保存状態がHPV検出に耐えうるか,予備的検討を行った,その結果は,十分検索可能であり,国立シンガポール大学での食道癌,肺癌症例についても適切な症例の抽出を依頼中である.
|