2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイにおける寄生虫による胆管癌の発症の分子疫学的研究
Project/Area Number |
15406027
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
及川 伸二 三重大学, 医学部, 講師 (10277006)
平工 雄介 三重大学, 医学部, 助手 (30324510)
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Keywords | タイ肝吸虫 / 胆管癌 / 8-ニトログアニン / 感染 / 炎症 / 活性窒素種 / 誘導性NO合成酵素 / 発がん |
Research Abstract |
タイ肝吸虫はタイ東北部を中心に分布し、その地域では胆管癌の発症が多発している。慢性感染および炎症は極めて重要な発がん因子である。炎症条件下では炎症細胞などから活性窒素種が生成され、8-ニトログアニンのようなニトロ化DNA損傷塩基を生成して発がんをもたらすと考えられる。我々は極めて高感度で特異性の高い抗8-ニトログアニン抗体を作成し(Nitric Oxide 2004)、免疫組織染色を行った結果、タイ肝吸虫を慢性感染させたハムスターの肝内胆管上皮細胞で8-ニトログアニン生成が経時的に増加し、反復感染で増強することを明らかにした(Carcinogenesis 2004)。誘導性NO合成酵素(iNOS)の胆管上皮細胞における発現も同様に、慢性および反復感染では強くなった。 さらに我々はタイの肝内胆管癌患者において、8-ニトログアニンが癌組織では非癌組織より多く生成されることが判明した。HIF-1αは癌組織でiNOSと同じ部位に発現し、両者の相互活性化が持続的なDNA損傷をもたらすと考えられた。さらに、8-ニトログアニン生成は癌の神経浸潤と有意に相関し、癌の悪性化に重要な役割を果たす可能性が示唆された(World J.Gastroenterol., in press)。 また我々は、本研究に関連した炎症関連発がんにおける重要な知見として、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎患者の胃腺上皮細胞および(BBRC 2004)。慢性C型肝炎患者の肝細胞で、8-ニトログアニンが強く生成されることを明らかにした(J.Hepatol. in press)。炎症性腸疾患動物モデルにおいても、大腸粘膜の上皮細胞で8-ニトログアニンが生成された(Cancer Sci. in press)。以上の結果から異なる病因においても発がんに先駆けて8-ニトログアニンが生成され、早期に炎症関連発がんリスクを評価できる新規バイオマーカーとなりうることが示された。
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Research Products
(11 results)