2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・南アジア地域における成人ロタウイルス感染症の実態究明
Project/Area Number |
15406028
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 和暢 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20264517)
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30232325)
谷口 孝喜 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40094213)
三瀬 敬治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30200025)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10363699)
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Keywords | ロタウイルス / 下痢 / 成人 / アジア / G型 / P型 / NSP4 |
Research Abstract |
本研究の第2年目となる本年度においても中国、インド、バングラデシュにおける成人下痢症の調査は予定通り進められた。なお、いずれの調査地でも成人からの検体と併行し、小児からの下痢便検体についてもロタウイルスの検索が行われている。平成16年度では、インドでは成人より352検体、小児より204検体が集められた。成人検体ではA群ロタウイルスが1.1%に見られたのみであったが、小児ではA群が35.3%に陽性であった他、主に成人下痢症の原因とされていたB群ロタウイルスが11.3%に検出された点が注目された。バングラデシュでは2ヵ所から2326の成人下痢便検体が集められ、うち1369検体の調査が終わり、119検体(8.7%)がロタウイルス陽性であった。この大部分はA群ロタウイルスであり、B群ロタウイルス2検体の他、A群、B群、C群に属さない非定型ロタウイルスが1検体検出された。このウイルス(B219)のRNAパターンはB群ロタウイルスのそれにやや似ているものの、既知のロタウイルス(A群、B群、C群)を検出するRT-PCRによってはウイルス遺伝子の増幅は認められなかった。そこで単一プライマーを用いてウイルス遺伝子のクローニングを行ない、RNA分節7、8の配列を決定した。これらの配列は既知のロタウイルスのそれとは大きく異なるものであったが、中国でかつて成人下痢症より見つけられた非定型ロタウイルスADRV-Nのそれ(2004年公表)と約90%の一致率を示した。我々はこのウイルスを新種ヒトロタウイルスと呼び、現在他の遺伝子配列の決定を進めている。B群ロタウイルスの下痢起因性に関しては、非構造タンパクNSP4のエンテロトキシン作用について解析を行い、本タンパクのC末端側の特定の配列が乳仔マウスに下痢起因性を有することを確認した。
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Research Products
(5 results)