2005 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア・東南アジア地域における成人ロタウイルス感染症の実態究明
Project/Area Number |
15406028
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 和暢 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20264517)
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30232325)
谷口 孝喜 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40094213)
三瀬 敬治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30200025)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10363699)
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Keywords | ロタウイルス / 下痢症 / 成人 / 南アジア / 東南アジア / 型別 |
Research Abstract |
今年度新たに得られた研究成果は以下のとおりである。 (1)バングラデシュの成人下痢症例より検出された非定型的ロタウイルスB219の5遺伝子分節(RNA分節5-9)の塩基配列を決定した。それらの遺伝子配列は、ヒトにおける感染が知られるA群,B群,C群ロタウイルスのそれとは60%未満と低い一致率を示したが、中国で新奇なヒトロタウイルスとして最近報告されたADRV-Nのそれに高い一致率(87-95%)を示した。またB219はADRV-Nと同様、5'末端にロタウイルスに共通の配列(GG-)が見られたが、3'末端の配列はA-C群のいずれとも異なっていた。以上の結果からB219はADRV-Nとともに、既知のヒトロタウイルスのものとは異なる新しい群(種)に属すると考えられ、この新種ロタウイルスがアジアに広く分布していることが示唆された。 (2)B群ロタウイルスは成人下痢症の原因として知られるが、小児における分布を詳細に調べるため、インドにおける小児下痢症検体を用いてRT-PCRによりB群ロタウイルスの検出を試みた。PAGE法でロタウイルス陰性とされた200検体中、37検体(18.5%)にB群ロタウイルスが検出された。この結果はB群ロタウイルスが小児下痢症においても従来考えられている以上に高い浸淫度で分布していることを示した。 (3)本邦において半閉鎖的施設で最近発生した成人のロタウイルス下痢症の集団発生について解析した。原因ウイルスはA群ロタウイルスで、抗原型はG2P[4]であった。施設への入所期間の長さが発症と関連していたことから、経年的なロタウイルスに対する免疫の低下が成人におけるA群ロタウイルス下痢症に関与したことが示唆された。
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Research Products
(6 results)