2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける地域在住要介護高齢者の実態に関する研究-本邦高齢者との比較検討-
Project/Area Number |
15406031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70190494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西渕 光昭 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (50189304)
北 徹 京都大学, 医学研究科, 教授 (60161460)
田中 誠 京都大学, 医学部附属病院, 助教授 (00271007)
奥宮 清人 京都大学, 総合地球環境学研究所, 助教授 (20253346)
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Keywords | ラオス / タイ / 本邦 / CGA / ADL / QOL / 近代化 |
Research Abstract |
【目的】本邦や先進諸国のみならずアジア諸国においても、少子高齢化が急速なスピードで進行している。2050年には、日本についで、シンガポール、韓国、タイ、中国が高齢社会となり、その他のアジア諸国も高齢化社会をむかえることが予測されている。しかし、アジア諸国における高齢者実態は明らかでない。本研究の目的は、アジア諸国の地域在住高齢者の医学的実態と要介護情況、ケアー体制の実情を明らかにすることにある。 【方法】本年の対象は、ラオス・サバナケット在住高齢者約300名とタイ・コンケン地域在住高齢者約400名である。対象として、本邦地域在住高齢者400名と比較検討した。用いた手法は、老年医学的総合機能評価法であり、具体的には、医学的診察にくわえ、日常生活機能(ADL)、Geriatric Depression Scaleを用いたうつ評価、定量的QOL評価、血液検査等である。 【結果】アジアの地域在住高齢者においても、本邦同様、うつを呈する高齢者はうつのない高齢者に比して、すべてのADL項目、すべてのQOL項目において、スコアが低下している事実を確認した。また、精神科医の診察から、本邦とアジア地域におけるうつ高齢者の割合は7-8%と共通していたが、うつ症状の内容は、経済発達段階ならびに地域固有の価値観や宗教的背景の違いなどによって異なっていた。地域在住高齢者における糖尿病もしくは耐糖能異状の有病率は、本邦が15%であるのに対して、ラオス・サバナケットが28%、タイ・コンケンが35%と、後二者で著しく高いことが明らかとなった。また、アジア全体を通じて、経済的要因が、地域在住高齢者の健康状態と密接に関連することが明らかとなった。 【結論】昨年度来と今年度のアジア諸国と本邦在住高齢者の健康実態の比較検討から、共通する点と地域固有の多様性を示す実態が明らかとなった。タイやラオスにおける糖尿病や耐糖能異状の有病率が高い事実は、急速な近代化の進展と密接な関連があり、今後のさらなる研究を要する。
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Research Products
(7 results)