2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500004
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
長岡 浩司 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助教授 (80192235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30251359)
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Keywords | 情報幾何 / 量子情報幾何 / 量子情報理論 / 量子仮説検定 / 量子推定 / 相対エントロピー |
Research Abstract |
今年度は、量子状態空間上の微分幾何学的構造と量子系に関する統計学的・情報理論的諸問題との関連について、従来の研究結果を整理し、量子情報幾何学の新たな方向性を探った。得られた知見はいまだ甚だ断片的であり、論文としてまとめる段階には至っていないが、現時点での状況を以下に記しておく。 古典相対エントロピーは、確率分布を要素とする空間に関する通常の情報幾何学において基本的な役割を果たす。それは、Fisher計量やα-接続(特にα=±1)などの一種の起源であると同時に、Sanov型の大偏差原理により、各種の情報量概念と確率論的な極限定理とを結びつける要の役割を担う。このうち純幾何学的部分については、量子相対エントロピーを考えることにより古典系と並行した議論が可能であるが、確率論的部分については、未だその一部がかいま見えているに過ぎない。この部分は、量子仮説検定論の精密化および統計力学との関連を考える上できわめて重要であり、そうした問題意識のもとで幾何学を深化させていく必要がある。一方、推定理論的観点からすると、相対エントロピーではなく、尤度の対数微分に相当するSLDやRLDに基づいた幾何学的構造が重要になる。この構造は捩率の存在に起因する複雑さを有するが、純粋状態空間への拡張を通して複素構造との関連が深く、情報幾何学の「複素化」の可能性を示唆しているように見える。 以上の内容については、IEEE国際情報理論シンポジウム(6月/横浜)での全体講演、国際統計学会(8月/Berlin)での招待講演、Bielefeld大学(8月/Bielefeld)やMax Planck研究所(8月/Leipzig)での講演において口頭発表を行った。関連研究としては、量子通信路容量の一般公式、古典系のユニバーサル符号化に関する情報スペクトル理論的考察、量子通信路の推定問題などがある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Hayashi, H.Nagaoka: "General Formulas for Capacity of Classical-Quantum Channels"IEEE Trans.Inform.Theory. 49・7. 1753-1768 (2003)
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[Publications] 有村光晴, 長岡浩司: "FV情報源符号の個別弱ユニバーサル性と個別漸近十分統計量"第1回シャノン理論ワークショップ(STW03)予稿集. 21-28 (2003)
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[Publications] A.Fujiwara, H.Imai: "Quantum Parameter Estimation of a Generalized Pauli Channel"J.Phys.A : Math.Gen.. 36. 8093-8103 (2003)