2003 Fiscal Year Annual Research Report
デデキント圏における情報意味論と関係型プログラミング
Project/Area Number |
15500013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河原 康雄 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (90091181)
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Keywords | 関係代数 / 関係集合論 / ファジイ論理 / 関係型プログラミング / プログラミング意味論 / Hoare論理 / カテゴリー論 / 形式概念 |
Research Abstract |
研究代表者は、既に述べた従来の研究経過と研究成果をふまえて、「関係集合論」の基礎を充実するため伝統的な公理的集合論との比較検討を行い、「関係型プログラミング」の基礎理論として最も重要であると考えられる関係計算によるDedekind圏におけるプログラム意味論と、形式概念解析を中心に「関係型プログラミング」の基礎理論とその応用について研究した。 研究代表者は、Hoare等による関係計算によるプログラム仕様意味論をDedekind圏において展開し、通常の集合論に基づかない純粋に計算機科学としての基礎理論を研究した。また、種々の代数系のDedekind圏における基礎理論の確立をも目標として、Dedekind圏における不動点の理論とcrisp性およびGoguen圏の表現定理の研究を推進した。 さらに、Dedekind圏における関係計算自体の数学的な展開として、Dedekind圏と束論の関連で最も重要なものとして、Willeによって導入された形式概念がある。従って、今年度の研究では、Dedekind圏あるいはSchroeder圏における形式概念の究明を重点的に研究した。具体的には、(1)形式概念の定義の再検討:従来の概念は、外延と内包との組と定義されるが、外延および内包それぞれ対等に単独で概念とみなすことにより概念の定義を代数化することを思考している。しかし、この方法は従来の定義より若干弱く微妙に異なる点があることがわかった。しかし、さらにこの方向で代数化の思考を継続する。(2)外延内包関係の直和に対しては、われわれの方法でも概念の直積公式が成り立つことが解明された。(3)外延内包関係のテンソル積の一般化を行った。この際、副産物として、関係余積および関係積をもつDedekind圏は、分配圏であることが証明された。これらの研究結果の1部は、次の研究集会で発表されている。 Formal Concepts in Dedekind Categories. 応用数学合同研究集会予稿集、龍谷大学(平成15年12月)
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