Research Abstract |
本研究では,作業スケジュールやメディア再生時間長等のユーザの利用目的に応じて,バッテリの持続時間および通信方式をシームレスにコントロールする省電力に配慮した通信ミドルウェアの設計・開発を目的としている。具体的には,携帯端末上での動画のストリーミング再生は,動画のデコード処理,描画,無線通信デバイスの稼動に多くの電力を消費する。そのため,希望する再生時間の間バッテリがもつよう省電力制御を行ないたいといった要求や,バッテリ容量の指定した割合(例えば,50%)は今後の作業のために残しておきたいといった要求が生じる。 本年度は,携帯端末上での動画のストリーミング再生において,トランスコーダによる動画の低品質化およびバッファリングによる無線デバイスの稼働時間の削減により,再生に要するバッテリ量を削減し,かつ,省電力化の度合いをユーザが指定した再生希望時間,動画の各品質項目に対する重要度および使用を許可したバッテリ量に従って制御することを目的としたビデオストリーミングシステムを設計した。次に,設計したシステムを実装し,PDAおよびノートPCを用いて実験を行なった結果,PDAで2.8倍,ノートPCで1.6倍程度までバッテリ持続時間を延長できることが確認できた。また,実用上十分な精度で,再生希望時間を満足できるようにバッテリ持続時間を制御できることを確認した。 上記の結果は,本年度の情報処理学会論文誌に掲載された。
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