2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500131
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小澤 賢司 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (30204192)
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Keywords | 感性 / 感性評価語 / MIDI / 演奏者情報 / 知性データベース / シェッフェの一対比較法 |
Research Abstract |
本研究では,以下に述べる階層構造を有する感性計算モデルを仮定した.感性プロセスは,下位から(1)基礎→(2)快適→(3)嗜好→(4)芸術→(5)絶対という階層をなしており,それと並行する「記憶・経験・知識を蓄積した知性データベース」と相互作用を受けながら感性情報処理は進められる.そして,より上位の感性プロセスの処理結果が「最終的な感性」を決定し,それが必要に応じて言葉を通して表現されると考える. 本年度は,以下の2点について検討を行った. 一つは,昨年度からの継続として行った,34種類の画像を感性想起刺激として用いた実験による検討である.各画像については,下位の感性は必ず想起されるが,しかし固有の上限があることが示された.このことから,下位の感性を踏まえて上位の感性が想起されるという,本研究の提案モデルの妥当性が示された. もう一つは,知性データベースが感性プロセスに及ぼす影響にういての検討である.感性を想起させる刺激として音楽を用い,またそれに影響する知識として演奏者情報を与えた.具体的には,ピアノのソロ演奏曲について,「プロの演奏」,「MIDIによる自動演奏」などの4音源を用意した.また,演奏者情報としては,「プロのピアニストによる演奏」および「コンピュータによる演奏」の2種類を用意した.これらの音源と演奏者情報の組合せから成る8刺激について,シェッフェの一対比較法によって,被験者14名が12種類の感性評価語に関して7段階評価を行った.実験の結果,同じ音源であるにもかかわらず,与えられた演奏者情報によって,曲に対する感性が統計学的に有意に変化する場合が見られた.このとき変化が見られたのは,嗜好感性,芸術感性に関する評価語に限られた.以上の結果から,知性データベースが感性プロセスに影響するのは,感性レベルの中位以上に限定されることが示された.
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Research Products
(1 results)