2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響空間における音像及び音場の能動制御による新しい芸術表現の創出
Project/Area Number |
15500143
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮坂 榮一 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (10350232)
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Keywords | 3次元音響システム / 音像 / 上下方向感 / 無限音階 / シェパードトーン / 上下方向制御 / 音声バランス / 放送用音声 |
Research Abstract |
<実験の目的> 本研究の目的は、3次元空間内の任意の位置から任意の位置に任意の速度で「音像」及び「音場」を、リスナーの前後左右に(時間的に)移動させる方法を確立することにある。 <今年度の実験内容> 1.H15年度は、3次元音響システム実現にとって不可欠で、かつほとんど研究が行われていない、上下方向制御についての実験を行った。さらに、同一水平面内のスピーカによる音像の上下方向制御実現の第1歩として、無限音階を8個のスピーカを用いて周回させ、中心において音像の上下移動感があるか否かを定量的に測定し検討を行った。 2.実験に用いた音刺激は3種類である。すなわち、(1)純音、(2)白色雑音、(3)シェパードトーン(正規分布状のスペクトル包絡を有し、成分間がオクターブ間隔となる調波複合音。これを用いた音階が無限音階)である。被験者11名に、閉眼の状態で次の7項目について音像の定位を求める実験を行なった。被験者は音像の位置を腕の上下によって示すよう求められた。 (1)正中面に設置された垂直方向4段組みのスピーカでホワイトノイズを再生、(2)純音による上昇音階系列をモノで再生、(3)無限音階による上昇音階系列をモノで再生、(4)純音による上昇音階系列を8chで周回再生、(5)無限音階による上昇音階系列を8chで周回再生、(6)項目4に音量を減衰させる操作を加えた場合、(7)項目5に音量を減衰させる操作を加えた場合。 3.実験の結果、一部は、ほとんど上昇感なしとの判断を示したが、他のグループは、純音でも正中面で上昇感を示した。このグループは、水平面内に設置された8個のスピーカによる無限音階の再生に対しても、1オクターブの区間において上昇感を示した。 4.また、実験で必要となる放送用音声の性質についても、基礎的な実験を行い、将来どのような音声バランスで提示すれば良いかの基礎資料を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮坂栄一, 鎌田喬浩: "放送用音声のチャンネル間音声バランス"日本音響学会秋季研究発表会. 2-7-7. 417-418 (2003)
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[Publications] 宮坂栄一, 池田真理子: "情報系テレビ番組における背景音の効果"日本音響学会秋季研究発表会. 2-7-8. 419-420 (2003)
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[Publications] 宮坂榮一, 鎌田喬浩: "放送番組における番組内容と音声バランスの関係"日本音響学会春季研究発表会. 1-6-14. 485-486 (2004)
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[Publications] 宮坂榮一: "聴覚の性質を利用した高能率圧縮の原理"日本音響学会誌. 60・1. 18-24 (2004)
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[Publications] Eiichi Miyasaka, Takahiro Kamada: "Relative differences among daily averaged sound levels of all TV channels in Japanese terrestrial and BS digital broadcasting"Proceedings of International Congress on Acoustics 2004. I835-I838 (2004)
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[Publications] Eiichi Miyasaka: "Sounds comfortable for elderly listeners as well as hearing impaired persons in broadcasting"Proceedings of International Congress on Acoustics 2004. III2187-III2190 (2004)