2004 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響空間における音像及び音場の能動制御による新しい芸術表現の創出
Project/Area Number |
15500143
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮坂 榮一 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (10350232)
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Keywords | 3次元音響システム / 音像 / 音の上下方向感 / 音の上下方向制御 / 音の側面方向感 / 放送用音声 / 音声バランス |
Research Abstract |
<実験の目的>本研究の目的は、3次元空間内の任意の位置から任意の位置に任意の速度で「音像」及び「音場」を、リスナーの前後左右に時間的に移動させる方法を確立することにある。 <今年度の実績> 1.上下方向における音の定位感 床からの高さ80cmの場所から、30cm間隔に垂直上方にスピーカ(以下SPと略す)を7つ、評定者正面から2.5m離して設置した。各々のSPから出力されるラウドネスを均一に保った状態で、周波数の異なる純音及び中心周波数の異なる帯域雑音を提示し、スピーカの番号を同定させた。その結果、純音については、周波数に関わらず、上下方向のSPの同定は困難であったが、帯域雑音の場合は、遙かに高い確率で、SPを同定できることが分かった。 2.上下方向における音の移動感 評定者の手前4.5mの位置に、垂直方向に設置された8個のSPのいずれかを起点に音を上方に移動させた。音は8秒間で上昇が終了するようにし、評定者は、音の始点及び終点と思われるSP番号を同定させた。その結果、いずれの組合せにおいても、音が確実に上方にスムーズに移動して聞こえることが分かった。しかも、終点のSPを実際より高い位置のSPに同定する評定者が多いところから、上昇感が、心理的移動間隔の方が広いことが示唆された。 3.リスナーの横方向における音の定位感と移動感 リスナーから1m離れた横方向に、耳の位置と同じ高さで9つのスピーカ(以下SPとする)を50cmの等間隔で直線上に配置し、SP1からSP9まで順次、音(純音及び帯域雑音)を提示した。その結果、純音を用いた場合は、直線上に移動していると聞こえるのはまれで、様々な軌跡を描いて移動するように感じられることが分かった。一方、帯域雑音を用いた場合は、直線上に移動するように感じられる割合が最も大きいことが分かった。さらに、SP1からSP9までの移動時間が短い場合の方が、より直線上に移動するように感じられることも分かった。 リスナーから1m離れた、耳より1m上方に9つのスピーカを設置した場合についても実験を行った。その結果、直線的な移動感が最も多いものの、真横にSPを設置した場合よりも曖昧になることが分かった。 4.音声バランスの実態調査:実験で必要となる放送用音声の性質についても、基礎的な実験を行い、将来どのような音声バランスで提示すれば良いかの基礎資料を得た。
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Research Products
(5 results)