2004 Fiscal Year Annual Research Report
映像や音楽視聴時の感性増幅をねらいとした視覚・聴覚・触覚情報の組合せ及び表現方法
Project/Area Number |
15500148
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Research Institution | Kyusyu Tokai University |
Principal Investigator |
井手口 健 九州東海大学, 工学部, 教授 (60289626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 広昭 熊本電波工業高等専門学校, 教授 (40249884)
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Keywords | 印象 / 音楽 / 視聴覚情報 / 触覚情報 / 体感聴取 / SD法 / 動画像 / 静止画像 |
Research Abstract |
(1)感性増幅効果を得るための体感音楽聴取条件の明確化 従来の遠方スピーカ音による音楽鑑賞方法より,腹部と手で振動を感じながらスピーカと共鳴箱から聴こえる至近音で音楽の特定の印象を強調して鑑賞できることを明らかにした.ただし,迫力,臨場感,演奏者感などが強調できる聴取方法ではあるが,聴き続けたいあるいは癒されるといった上位の感性に訴える技術には至っていないという結果であった.新しい体感聴取法が従来の音楽鑑賞法に取って代わるくらいの魅力を持つには,聴き続けたくなる,癒される,没入感がある等の上位の感性増幅が必要である.そこで,体感聴取で得られる立体音像と聴取者が音像の中で感じる位置が感性増幅と関係しているのではないかと考えた.さらに,複数の人が体感音を共有あるいは体感音パートをシェアしながらインタラクティブな音楽聴取を行うことが従来の音楽聴取法に無い新しい魅力を引き出すのではないかと考えた。そのための実験システムとして,アコースティックギターの空洞共振箱にスピーカ音を吹き込み,共鳴箱の振動と共鳴箱からの至近音により音楽を体感聴取する装置を,2チャンネルトラック用にそれぞれ使用し,二人の聴取者がそれぞれのチャンネルの音源から得られる振動触覚と至近音を聴取しながら他チャンネル音を遠方音として聴取するシステムのプロトタイプを作成した。今後、上記仮説を証明して、新たな音楽聴取法としての設計条件を明らかにしてゆく予定である。 (2)情景の聴覚・視覚・触覚情報およびその組合せによる印象構造の解明 今期間では,まず情景シーンの視聴が人の印象に与える影響を、「音のみ」「動画映像のみ」「音声付動画映像」という3つの呈示方法について比較検討した.その結果、因子構造にはあまり違いは見られなかったが、景観を見る際に重要であると考えられる「見(聞き)続けたい」や「快い」に影響を与える因子は視覚を利用するかどうかによって異なっていることがわかった。また、音のみに映像を付加した場合と、映像のみに音を付加した場合を比べると、映像に音声を付加した場合にほとんどの情景シーンで様々な印象が強調されているため、人の情景シーンに対して持つ印象への影響は「音」によるものが大きいと言える。特に臨場感については音が支配的であることがわかった。また,呈示時間が印象に及ぼす影響については,穏やかな音と映像の情景シーンでは音のみの呈示では「聞き続けたい」という評価が徐々に薄らいでいくが,映像を付加すると、「聞き続けたい」という評価が持続する傾向にある。激しい音と映像の景観では、「耐えられない」評価であったものが、映像を付加すると「見続けたい」との評価に移っており、その評価は数十秒は持続する傾向になった。 更に「音のみ」,「静止画のみ」,「音声付静止画」の3つの呈示方法についても情景シーンの視聴が印象に与える影響を比較検討した.今回の検討では音が印象構築において支配的であるという点で動画映像と静止画映像とで同様な傾向が見られた.音声と映像が同期している動画映像との違いを抽出できると,情景シーンのディスプレー方法に指針が得られるが,今回はそこまで踏み込んだ成果は得られていない.
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Research Products
(1 results)