2004 Fiscal Year Annual Research Report
筆跡の変動解析と筆跡鑑定支援システムの高機能化に関する研究
Project/Area Number |
15500163
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
上田 勝彦 独立行政法人国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (30043459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 賢一 独立行政法人国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 助教授 (10259913)
中村 善一 独立行政法人国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 助教授 (20110249)
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Keywords | 筆跡鑑定 / 筆跡変動解析 / 筆跡個性の検証 / 筆跡抽出 / 筆跡鑑定支援システム / 文書画像解析 |
Research Abstract |
平成16年度は2年間にわたる本研究計画の最終年度として、平成15年度に引き続き研究を行い、所期の目的をほぼ達成することができた。以下に、得られた成果の概要について報告する。 1.筆跡の全体的形状に関する個人内変動および個人間変動を定量的に把握するために、変動エントロピーと呼ばれる量を導入して検討を行った。その結果、個人内筆跡と個人間筆跡の変動エントロピーには有意な差が認められ、筆者による筆跡変動の評価量として適当であることがわかった。他方、筆跡の個人差を定量的に評価するために、筆者照合実験を行った。そして両者の結果を比較検討したところ、筆跡の個人内変動と照合率との間には強い負の相関が認められた。以上の結果より、筆跡鑑定結果の信頼性は対象筆者の個人内変動により大きく影響を受けることが明らかになった。しかしこの結果が適用できない特別な字種が存在し得ることも示唆された。 2.既に開発済みの筆跡比較チャート上で、筆跡の字画構造特徴を対話処理により効率的に測定する方法を開発した。評価実験の結果、従来の人手による測定に比べて約50〜70%の時間短縮が可能であり、測定誤差も±10%以内であることがわかった。 3.以上の成果に基づいて従来の筆跡鑑定支援システムに、対象筆跡の個人内変動を参考情報として提示する機能、および筆跡の字画構造特徴の測定機能を付加した高機能の筆跡鑑定支援システムを構築した。 今後以上の成果を基にして、筆跡鑑定の根拠である筆跡の個性(個人差と恒常性)の定量的検証を行うとともに、さらに多くの筆跡特徴を測定できる機能を付加することにより、客観的で効率的な筆跡鑑定を可能にする実用的な支援システムを構築することが必要である。
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Research Products
(3 results)