2005 Fiscal Year Annual Research Report
テクスト理解過程にみる概念化の認知語用論的研究とその現象学的考察
Project/Area Number |
15500169
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
廣瀬 恵子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40145719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 勇 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (90182039)
宮浦 国江 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (50275111)
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Keywords | 認知言語学 / 読解 / テクスト / ディスコース / メタファ / イメージ・スキーマ / マッピング / 放射状カテゴリー構造 |
Research Abstract |
本年度は、テクスト読解に伴う概念形成について、Lee(1992)Competing Discourses,(2001)Cognitive Linguistics : An Introductionを中心に考察した。認知言語学の基本概念である事態把握、放射状カテゴリー構造が、語からディスコースまでを含む言語形式の各レベルで一貫して有効な概念であることが解明された。特に談話において、対話者間で同一語が微妙に意味を変えていき誤解を生じる過程を、上記概念と関連するフレーム、前景化の概念で捉えることができること、またテクストにおいて対抗ディスコースを用いた構築主義的プロセスが意味の創発に関わる過程も統一的に捉えることができることが明らかになり、今後の認知語用論的研究の方法論としての有効性が確認された。 また、特に抽象度の高い内容の哲学的テクストの読解においてアナロジーやメタファの理解がそのテクスト全体の理解の正否に大いに関わるという視点から、認知言語学でのメタファ論が検討され、哲学的テクストの読解におけるメタファとアナロジーの機能が究明された。本研究の検討によれば、哲学上の基本概念の多くは何らかの形でのメタファであり、アナロジーであることが解明された。そもそも、基本的な哲学概念は、高度に抽象的な性格をもつが、しかしそれはわれわれの具体的な経験に「根」を持つものであり、きわめて具体的な身体経験や知覚運動パターンから生ずるイメージ・スキーマがそこに込められている。例えば、それ自体では抽象度の高い時間的関係を表現するのに哲学の議論では空間的表象を使うことがあるが、この場合、空間的事象の領域がソース・ドメインとなり、時間関係の事象領域がターゲット・ドメインとなっている。本研究では、哲学概念の中には、このようなマッピングによって形成されてきたものが多く見られた。
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Research Products
(3 results)