2003 Fiscal Year Annual Research Report
機能語の習得にみる「心の理論」の発達-新しい認知モデルの実証
Project/Area Number |
15500171
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
松井 智子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (20296792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCCAGG Peter 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80173300)
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Keywords | メタ表象 / 心の理論 / 機能語 / 文末助詞 / 話者の意図 |
Research Abstract |
平成15年度は主に、研究の理論的基盤の確立と、初期の実験を行った。それらは大きく分けて下記から成る。 (1)研究対象となる機能語の選定 (2)研究対象の機能語の意味とメタ表象能力との関運についての理論的研究 (3)メタ表象能力の発達に関する理論的研究 (4)メタ表象能力テストの開発 (1)〜(3)について、日本語の文末助詞「よ」「かな」「って」を初期実験の対象表現として選定した。日本人の母親が子供に話しかける際に、これらの文末助詞を高い頻度で使用していることが確認され,第一の実験では3歳児でも「よ」と「かな」で示唆される話者の確信度の違いを把握することができることがわかった(Matsui et al. In press)。現在まで続いている第二の実験では、「よ」と伝達助詞「って」の使用から示唆される話者の証拠に関する確信度の理解について調査が進んでいる。これまでの調査では、3歳児の「よ」と「って」の意味の違いの把握度は、「よ」「かな」の意味の把握度を下回ることがわかってきている。第一の実験の結果は、平成15年11月初旬にボストンで開かれたBoston University Child Language Developmentの学会で研究代表者が発表し、Proceedingsに掲載される予定である。同月下旬にはMax Planck Institute for Evolutionary Anthropologyでも発表を行い、多くのフィードバックを得ることができた。 (4)については、これまで一般に他者の心的状態を推測する能力の発達を判断するための基準として使用されてきた「誤った信念課題」とは別に、子供がコミュニケーションにおいて話者の意図を推測する能力の発達を診断するテストの開発に着手し、パイロット実験を終了した。これまでに、典型的な誤信念課題ができない子供の多くが、話者の意図を推測する課題はこなすことができる傾向が明らかになっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松井 智子: "語彙発達に見られる心の理論の発達:母と子の会話における心的状態語彙の日米比較"ICU Language Research Bulletin. 17. (2003)
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[Publications] Tomoko Matsui, Peter McCagg, Taeko Yamamoto, Yohko Murakami: "Japanese preschoolers' early understanding of (un)certainty : A cultural perspective on the role of language in development of theory of mind"Proceedings of the 28th annual Boston University Conference on Language Development. (2004)
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[Publications] Tomoko Matsui, Peter McCagg, Taeko Yamamoto: "Little persuaders : Japanese children's use of datte and their developing theory of mind"Proceedings of the Georgetown University Round Table. (2004)