2005 Fiscal Year Annual Research Report
機能語の習得にみる「心の理論」の発達-新しい認知モデルの実証
Project/Area Number |
15500171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20296792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCCAGG Peter 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80173300)
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Keywords | 心の理論 / 機能語 / 言語習得 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は、これまでほとんど取り上げられることのなかった「機能語」の意味獲得と、心の理論の獲得に光を当てようとするもので、とくに獲得が比較的早い文末助詞に焦点を絞り、3歳前後の児童がどの程度終助詞の意味を理解できるのかを検証することを目的とする。最終年度にあたる今年度は、これまでの実験結果の解析、成果発表、論文作成に充てられた。本研究を通して明らかになったことは、3歳児は、話者の確信度の強弱を表す「よ」「かな」の意味を理解することはできるが、間接的証拠を表す「って」の意味を理解することはできない、ということである。「って」の理解ができるようになるのは、6歳前後ということもわかってきている。3歳児が「よ」「かな」の意味を理解することができることは、これまで英語圏の児童を対象に行われた実験の結果から、他者の心的状態を表す表現を理解できるのは誤信念課題にパスする4歳から5歳の間、とする説と照らし合わせてみると、画期的な発見であると言える。英語などの言語には、文末助詞はないため、心的状態を表す表現というと、動詞、副詞などになるが、そのような言語を母国語とする幼児は4歳前後で、文末助詞を持つ言語を母国語とする幼児は、それより1年早い3歳前後に、言語を通した最初の心的状態を理解するようになる、という仮説が立てられる可能性も出てきた。これら本研究結果は、7月の国際学会(The 8th International Pragmatics Conference)で報告され、さらに3月には国際ジャーナルに出版された。今後の課題として、文末助詞「ね」の理解と心の理論の関係を明らかにすること、さらには語用論能力に障害があるとされる高機能広範性発達障害を患っている幼児の文末助詞の使用について調査することなどが挙がってきており、それらに向けての準備が既に始まっている。
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Research Products
(4 results)