2004 Fiscal Year Annual Research Report
確率場分布理論におけるオイラー標数法の基礎付けと実用化およびその応用に関する研究
Project/Area Number |
15500194
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
栗木 哲 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 助教授 (90195545)
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Keywords | チューブ法 / 確率幾何学 / 積分幾何学 / ランダム行列 / 多重比較 / カイ2乗検定 |
Research Abstract |
本課題は,確率場X(t), t∈I (I⊂Rは添字集合)の最大値の分布Pr(max X(t)>a)を近似するために有効な手段と考えられているオイラー標数法(Euler characteristic heuristic)に関するものである.本年度は主として以下のことを行った. (i)一般に対称行列Aの最大固有値は,長さ1の縦ベクトルhを用いて二次形式の最大max h' A hと書くことができる.この性質を用いて,Aを与えられた直交不変なランダム行列とするとき,確率場X(h) = h' A hにオイラー標数法を適用することにより,ランダム行列Aの最大固有値の分布の近似が得られることになる.本年度の成果として,Aが一般的な直交不変ランダム行列であるという設定の下で,最大固有値分布のオイラー標数近似式を求めるとともにその誤差評価式を与えた.ウィシャート行列,多変量ベータ行列,逆ウィシャート行列などの多くの一般的なランダム行列について,オイラー標数近似式の誤差は,近似式の本体に比べて微小量であり,その意味で正当(valid)であることが分かった. (ii)多数のカイ2乗検定を同時に行った場合の多重性を考慮した有意水準の評価について検討した.これは連続近似して考えると,カイ2乗確率場の最大値の分布を求める問題となり,オイラー標数法の適用範囲となる.カイ2乗確率場の一般的な枠組みにおいて,オイラー標数近似式を求めその誤差を評価した.また得られた結果をイネの致死遺伝子探索へ応用する試みについて,検討を始めた.本項目(ii)の課題は次年度においても引き続き取り組む予定である.
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Research Products
(2 results)