2004 Fiscal Year Annual Research Report
「基本競合系」型神経回路による視覚競合過程の生物学的実現
Project/Area Number |
15500199
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内山 博之 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70223576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 裕史 鹿児島大学, 工学部, 助手 (00363606)
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Keywords | 注意 / 視覚競合 / 基本競合系 / 向網膜系 / isthmo-optic nucleus / 視覚誘導性行動 / 無拘束記録 |
Research Abstract |
本研究は,鳥類の向網膜系の構造と機能の詳細を把握し,基本競合系型の競合神経回路による視覚競合過程の生物学的実現の様式を明らかにすることを目的とする.この目的に添って,以下の多面的なアプローチによる一連の研究を行った. 1)向網膜ニューロン(isthmo-optic neuron ; IOニューロン)が動物の行動,特に視覚誘導性行動の際にどのように活動しているかを明らかにするために,向網膜神経核(isthmo-optic nucleus ; ION)にタングステンワイヤ・テトロード電極を埋め込み、覚醒した頭部無拘束ウズラのIOニューロンから活動を記録した.その結果,頭部運動時にはIOニューロンの活動は抑制され,運動終了直前から活動が促進されることがわかった. 2)IONの破壊が視覚誘導性行動にどのように影響するかを調べた.その結果,ION破壊によって散乱した餌を採餌する際のペック(ついばみ)の時間間隔が有意に遅延することがわかった.餌の探索を要しない採餌環境では遅延は見られないことから,ION破壊が餌の探索に関与する過程に障害したことを示唆していると考えられる. 3)ION内の神経構築の詳細を明らかにするために,IONを含むスライス標本を作製し,ION内のニューロンの細胞内標識を行った.また,免疫組織化学によるGABA作動性ニューロンの標識も行った.これにより,網膜に投射するIOニューロンの軸索がION核内ではvaricosityを多く持つことを見いだした.これはIOニューロンがION核内でシナプス形成する可能性を示唆するものである.また,GABAニューロンの終末がIOニューロンの細胞体を取り囲むように存在することもわかった. 4)昨年度得られた細胞内標識法によるIOニューロンの形態の論文が,神経解剖学分野では最も権威のある国際雑誌であるJournal of Comparative Neurologyで出版された.
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Research Products
(2 results)