2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞関連遺伝子ATRX変異マウスを用いた記憶・学習障害と遺伝制御異常解明
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15500210
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北島 勲 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50214797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西条 寿夫 富山医科薬科大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00189284)
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Keywords | ATRX症候群 / ATRX遺伝子 / ADHD / ノックアウトマウス / 行動解析 / 記憶・学習障害 / 海馬体 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
精神遅滞とαサラセミアを呈するATRX症候群の原因遺伝子であるATRX遺伝子の機能を明らかにするため、平成15年度にマウスATRX遺伝子エクソン2にLacZ遺伝子を同部位にノックインしたATRX変異マウスを作成した。平成16年度は129系で作成されたマウスを行動解析に適するように、C遺伝背景を99%までC57BL6系にした6世代(N6)マウスを用い以下の成果が得られた。 (1)N6マウスは外見的に形態異常はなく、正常に発育したが、生後3か月より野生型に比べ、体重増加率の少ない傾向を示した。 (2)本変異マウスのATRX遺伝子発現を検討した結果、エクソン2以下でmRNA発現が止まるもの以外にエクソン2のスプライシングフォームを有するmRNAが存在していることが明らかにした。従って、本マウスはC末端を認識する抗体を用いて脳組織のウエスタンブロットを行なうとATRX蛋白発現に差はないがN末端を認識する抗体では約50%の蛋白発現低下を認めた。脳の免疫組織学的解析においても、N末端認識抗体で馬体神経細胞と小脳プルキンエ細胞のATRX蛋白の発現低下を明らかにした。 (3)N6変異マウスと野生型マウス1で行動を比較解析した。その結果、1)変異マウスの暗状態における活動性亢進:12時間周期と24時間周期の明暗箱における行動量解析はいずれも、ATRX変異マウスが有意に暗状態で活動量が増加。2)変異マウスのモーリス水迷路試験における学習能力の低下:ATRX変異マウスは、野生型にくらべ開始日から10日目まで有意な目標場所到達時間の遅延が認められた。3)変異マウスの回転ロッドによる捕まり時間短縮:ロッドの回転数増加に対する捕まり時間を測定すると、変異マウスは野生型に比べ有意な捕り時間短縮を認めた。 以上,脳病理組織学的にもATRX遺伝子発現低下部位と行動障害責任部位が一致することが明らかになった。本マウスはADHDのモデルマウスとして利用できる可能性が示唆され、今後ADHD病態解析や治療薬開発研究に発展に供することが期待できる。
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Research Products
(7 results)