2005 Fiscal Year Annual Research Report
再認記憶の脳内機構-機能的核磁気共鳴画像と事象関連電位を用いた研究-
Project/Area Number |
15500211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯高 哲也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70324366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 武志 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (80030469)
大平 英樹 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (90221837)
米倉 義晴 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (60135572)
定藤 規弘 自然科学研究機構, 生理学研究所, 教授 (00273003)
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Keywords | 脳賦活検査 / 機能的磁気共鳴画像 / 事象関連電位 / 認知心理学 / エピソード記憶 / 加齢 |
Research Abstract |
今年度は顔認知課題を用いた機能的磁気共鳴画像(fMRI)と事象関連電位(ERP)の研究結果をBrain and Cognition誌に投稿し、受理された。続いて若年健常被験者を用いた絵の再認記憶に関するfMRIとERP研究の結果をCerebral Cortex誌に投稿し、受理された。 今年度に新たに行った実験としては、絵の再認記憶に関する実験を健常高齢者で行ったものがある。24名の高齢者に対して予備調査を行い、fMRI実験が遂行可能とされた16名について自然科学研究機構・生理学研究所において本実験を行った。 得られたデータをSPM2とrandom effect modelで解析した結果、高齢被験者は若年者と比較してエピソード記憶の想起時における前頭葉の活動が亢進していることが分かった。しかし両群では正答率はほぼ等しいものの、反応時間が高齢者で有意に延長していた。このことは高齢者の脳では課題に対するduty cycleが長いため、より多くの神経活動が必要になる可能性を示している。この影響を除外するため、2群間の比較に平均反応時間を共変量として加えた。その結果では、高齢者において強く見られた前頭葉の反応の多くは反応時間の差で説明できることが分かった。 さらに想起の成功に関る脳領域を見ると、高齢者では若年者と比較して左海馬の活動が低下しているが脳梁膨大部後部の活動は逆に亢進していることが分かった。これらの2つの領域は、それぞれ記憶にかかわるPapez回路の一部であることが知られている。従って高齢者では海馬の機能低下を脳梁膨大部後部の機能亢進で補っている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)