2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ神経筋結合を用いたシナプス形成過程の分子解剖学的解析
Project/Area Number |
15500228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 えみ子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20173891)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経筋結合 / シナプス形成 / 電子顕微鏡 / 標的認識分子 / 免疫細胞化学 / 細胞標識 |
Research Abstract |
本研究は、ショウジョウバエ胚体壁筋系の神経筋結合をモデル系とし、シナプス結合の形成過程で発現する様々な機能分子の時空間的な位置関係を免疫細胞化学法や遺伝子工学による標識法を駆使して解析し、これらの分子の発現様式が機能発現のうえでどのような意義を持つのかという点を遺伝子突然変異や異所発現体の解析から明らかにすることを目的としている。本年度は、特に我々が発見した筋細胞から伸びる糸状突起(マイオポディア)と神経突起との相互作用に注目し、高分解能の免疫電子顕微鏡法(透過型電子顕微鏡及び走査型電子顕微鏡法)と標識細胞の光学顕微鏡観察との組み合わせにより細胞の微少領域での機能分子の発現様式と意義を明らかにする事を目標とした。これまで、マイオポディアの観察は標識細胞の蛍光顕微鏡法を用いた観察により解析してきたが、この方法では標識部位しか観察できず、また蛍光強度の微弱なものでは解像度の低い観察しかできなかった。これに対し、本年度に行った走査型電子顕微鏡を用いた観察法では、標識部位と非標識部位を同時に区別して観察でき、しかも数nmの解像度で糸状突起を立体観察できた。その結果、神経成長円錐の糸状突起と標的筋細胞のマイオポディアとが複雑に絡み合い、やがて束をなしていくことがわかった。また、マイオポディアはシナプス形成部位だけではなく、軸索の束が通る道筋にも存在し、神経突起と接触を繰り返していることがわかった。透過型電子顕微鏡でも、これらの軸索とマイオポディアとの相互作用を観察することができた。標的認識分子の分布については、現在電子顕微鏡レベルの解析が可能な抗体を光学顕微鏡レベルで検討しているところである。
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Research Products
(1 results)