2004 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ神経筋結合を用いたシナプス形成過程の分子解剖学的解析
Project/Area Number |
15500228
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
鈴木 えみ子 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教授 (20173891)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経筋結合 / シナプス形成 / 電子顕微鏡 / 標的認識 / 免疫細胞化学 / 細胞標識 |
Research Abstract |
シナプス結合の標的特異性は神経回路形成の最も重要な基盤をなす。本研究はシナプス形成期の神経系でシナプス結合の特異性がどのような機構によって成り立つのか明らかにすることを最終目的としている。研究材料としては比較的単純な神経回路であるために細胞レベルの解析が容易なショウジョウバエ胚の体壁筋系の神経筋結合を用いている。これまでに、特定の神経突起と標的細胞又は非標的細胞を標識して光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルで観察するシステムを確立した。この方法により、シナプスの標的認識過程において軸索成長円錐と標的筋細胞との密接な相互作用を細胞微細形態レベルで観察することができた。その結果、成長円錐ばかりでなく、標的筋細胞も盛んに糸状突起を伸ばして成長円錐の糸状突起と絡み合い、次第に互いの接着面積を広げるようにその形態を変化させることがわかった。しかもこの過程は標的細胞特異的であった。また、この過程をFasIIIやTollといった、細胞膜蛋白質が制御していることもわかった。さらに、シナプス形成に関わる蛋白質(Dlg等)は糸状突起の形態変化とともに集合してくることから、この時期からシナプスの成熟過程が始まっていることが示唆された。また、軸索のシャフト部分からも糸状突起が周囲に伸びて、神経経路の周囲に存在する筋細胞から伸びている糸状突起と絡み合っていることもわかった。この結果から、軸索経路の周囲の細胞は軸索の伸長を誘導するばかりでなく、軸索経路を保持する役割をもつことが示唆された。
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Research Products
(3 results)