2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンを単極性、双極性、多極性に分化させる因子の検索
Project/Area Number |
15500258
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 泰久 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50176806)
|
Keywords | ニューロン / 神経突起 / 分化 / 標的 / 接触忌避 / ニューロピリン / DNAアレー / NG108細胞 |
Research Abstract |
神経細胞は機能によって、単極性、双極性、偽単極性、多極性など形態的な分化をとげる。これは脳をはじめとする神経系の複雑な機能に深くかかわる重要な事項であるが、その機構についてはほとんど明らかでにされていない。マウスのニューロブラストーマとラットのグリオーマのハイブリッドNG108細胞は、優れたコリン作動性ニューロンのモデルであり、通常cAMPを培地に添加することで多極性ニューロンの形態に分化する。ところが、平滑筋の培養細胞SM3と混合培養すると、有意に単極性、双極性ニューロンに分化するものが増加することが明らかになった。 このNG108-SM3細胞のフィルターインサート混合培養系から、mRNAを精製し、特異的な遺伝子発現についてDNAアレー法での検討した結果、1000以上の遺伝子がアップレギュレーションされていることが明らかとなった。その中には、軸索や樹状突起の伸長に関わるタンパク質、神経伝達物質に関わるタンパク質、BDNFなど神経栄養因子など多様な遺伝子が含まれていた。混合培養により特徴的に上昇している遺伝子の中から、軸索伸展に関わる受容体タンパク質であるニューロピリン-1に注目し、NG108細胞の神経突起分化との関連を特異抗体によるウェスタンブロットと免疫細胞化学により検討した。ニューロピリンはNG108細胞の神経突起の成長円錐やバリコシティに発現していることが確認された。そのリガンド候補であるセマフォリンファミリーのセマ3Aについて同様に混合培養系で検討したが、検出されなかった。これらの結果より、NG108細胞が示す神経突起伸展パターンにニューロピリン受容体が関与することが有力だが、セマ3Aとは異なるリガンドを介して情報が伝達されていることが示唆された。今後、この混合培養系を用い、神経細胞の表現型の分化を探ることが可能であり、複雑で局所的な神経回路の形成機構を解明する鍵が得られるに違いない。
|
Research Products
(2 results)