2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアを貪食細胞に誘導する分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
15500269
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中嶋 一行 創価大学, 工学部, 助教授 (50175494)
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Keywords | ミクログリア / 貪食細胞 / 神経細胞死 / 顔面神経 |
Research Abstract |
本研究は、末梢神経の細胞死に伴ってミクログリアが貪食細胞に変貌する現象から、ミクログリアには貪食性の誘導に関連する分子が発現されるものと推測されるため、この分子を探索することにより、貪食性の誘導メカニズムを解析することであった。 ラットの片側顔面神経に過酸化水素あるいはパーオキシナイトレイトを注入し運動神経を傷害させて1日後および3日後に、新たに誘導される分子をサブトラクション法で検索したところ、これまでに約20種類の分子を拾うことができた。ただ、ヌクレオチド配列分析の結果、それらの大部分はありふれた細胞骨格蛋白や細胞内の代謝系酵素ばかりで、貪食性に関係のありそうな蛋白、膜酵素、転写因子の類いは皆無であった。しかし、まだ見落としている分子がある可能性もあるので、今後もサブトラクション法によって繰り返し検討していく予定である。 このような生体内における検索とは別に、培養ミクログリアを使用して、貪食性に関係する分子の探索も行ってきた。培養ミクログリアは、基本的に貪食性であるが、プロテインキナーゼC(PKC)活性を阻害すると、その貪食性は失われる。そこで、この現象を利用して、貪食性関連たんぱく質の検出を試みた。培養ミクログリアをPKC阻害剤で処理すると、蛍光ビーズの取込みは全く見られなくなるので、これをレスティングミクログリアのモデルとし、一方、通常の培養ミクログリアは貪食性であるので、それは貪食性ミクログリアのモデルとした。これら両者を二次元電気泳動により比較した結果、貪食性のミクログリアに特徴的に存在する蛋白スポット(plが5,分子量約9万)が検出された。この分子は貪食性の誘導メカニズムに関連する可能性が考えられている。ただ、この蛋白質の量が微量であるため、実際の配列分析までは少し時間を要するかもしれない。
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Research Products
(3 results)