2004 Fiscal Year Annual Research Report
Cdk5による脳の形成・発達に関与する蛋白質リン酸化の同定とその機能解明
Project/Area Number |
15500273
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大島 登志男 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 副チームリーダー (20311334)
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Keywords | リン酸化 / セリン・スレオニンキナーゼ / サイクリン依存性キナーゼ / GSK3β / チュブリン |
Research Abstract |
目的と方法: Cdk5は神経細胞特異的に活性化されているセリン・スレオニンキナーゼで、Cdk5欠損マウスでは、脳の皮質形成の異常があり、その脳内の基質がリン酸化されない事が原因であると推定される。我々は、リン酸化特異的抗体と2次元電気泳動を組み合わせた方法により、Cdk5欠損マウス胎児脳及びCdk5を脳新皮質でのみ不活性化したコンデイショナルKOマウスの生後脳でリン酸化の低下している蛋白質をスクリーニングし、同定された蛋白質でのCdk5のリン酸化の機能的意義を検討した。 結果: Cdk5欠損マウス胎児脳を用いた検討では、これまでにPak1,CRMP-2,FAK1,doublecortinがリン酸化の低下した蛋白質として同定された。これらのうちCRMP-2に関して詳細に検討した。横浜市大薬理学教室との共同研究により、Cdk5のリン酸化部位はSer522と同定され、リン酸化特異的抗体により、Cdk5欠損マウスでのリン酸化の消失が確認された。さらに、このリン酸化が、Ser509のGSK3βのリン酸化に必須であることがin vitroの実験で確認された。また、リン酸化CRMP-2はAlzheimer病患者脳の神経原線維性変化の構成成分として同定されており、特異的に反応する3F4モノクローナル抗体の抗原性がこのsequentialなCRMP-2のリン酸化によりin vitroで再現された。さらに、このCdk5→GSK3βによるCRMP-2のリン酸化により、CRMP-2とチュブリンとの結合能が低下し、Cdk5欠損マウス脳においては両者の結合が亢進している事が明らかとなった。また、脳新皮質特異的Cdk5コンディショナルKOマウス脳を用いた検討により、新たに同KOマウスの生後脳で約80kDaの蛋白質のリン酸化が低下している事が明らかとなり、現在同蛋白質の同定を進めている。
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Research Products
(1 results)