2005 Fiscal Year Annual Research Report
Cdk5による脳の形成・発達に関与する蛋白質リン酸化の同定とその機能解明
Project/Area Number |
15500273
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
大島 登志男 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 副チームリーダー (20311334)
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Keywords | リン酸化 / セリン・スレオニンキナーゼ / サイクリン依存性キナーゼ / リーリン |
Research Abstract |
目的と方法: Cdk5は神経細胞特異的に活性化されているセリン・スレオニンキナーゼで、Cdk5欠損マウスは、脳の皮質形成の異常を示す。我々は、Cdk5欠損マウス胎児脳でリン酸化の低下している蛋白質をスクリーニングすると共に、脳形成関連蛋白質でCdk5の基質として同定された蛋白質Dab1ついてもCdk5のリン酸化の機能的意義を検討した。 結果: Dab-1は、脳の皮質形成に異常をきたすリーラーマウスで欠損しているリーリンのシグナルを伝える細胞内アダプター蛋白質である。Cdk5がDab1のSer491をリン酸化する事が知られていたが、我々はin vitroの実験から、Dab1のC末のこの部位を含む8ヶ所をCdk5がリン酸化する事を明らかにした。Dab1にはいくつかのisoformがあり、主なisoformのp80はリーリン刺激によりチロシンリン酸化を起こすが、Cdk5のセリン・スレインリン酸化により、このチロシンリン酸化が抑制される事を見出した。さらに、p45 Dab1 isoformでは、Cdk5によりSer466がリン酸化され、このセリンのリン酸化がDab1のチロシンリン酸化を促進し、セリン残基とチロシン残基がリン酸化されたp45Dab1はプロテオゾーム系で速やかに分解される事が明らかとなり、Cdk5がリーリンシグナルを調整している可能性が示唆された。 また、Cdk5の活性化サブユニットのp35欠損マウスは、記憶学習の障害や、耐糖能に違いがあるが、これが、Cdk5の基質蛋白質のprotein phosphatase inhibitor-IとL型のvoltage-dependent Ca2+channelのリン酸化の変動により起きている可能性が示された。前者はCdk5の記憶学習での役割を、後者は膵臓ら氏島ベータ細胞からのインスリン分泌へのCdk5の関与を明らかにした成果である。
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Research Products
(3 results)