2003 Fiscal Year Annual Research Report
コンディショナル変異導入マウスを用いたNMDA受容体の情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
15500277
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
笹岡 俊邦 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (50222005)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 寅彦 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (90171785)
|
Keywords | NMDA受容体 / 遺伝子操作マウス / コンディショナル変異導入 / 神経症状 |
Research Abstract |
コンデイショナル変異導入法によりNMDA受容体異常活性化を導入したマウスを用いて下記を行った。 (1)変異型分子に対する特異抗体の作成:NMDA受容体のアミノ酸置換による変異型分子の発現解析・機能解析には、アミノ酸置換部位に対する特異抗体の作製が必須である。NMDA受容体のアミノ酸置換部位のペプチドを合成し、ウサギポリクロナル抗本を作成したところ、膜貫通部位に対する抗体が得られた。しかし正常型アミノ酸配列と変異型アミノ酸配列を区別する特異性は不十分であった。分担研究者の田中博士は同一のペプチドを用いてファージディスプレイ人工抗体の作成を行うため、まず、人工抗体ファージライブラリーの作製法を開発した。今後、NMDA受容体のアミノ酸置換部位に対する抗体作製を進める。 (2)NMDA受容体アミノ酸置換マウスの形態学的解析:当該マウスは神経症状を示し、その責任部位候補を検索するため大脳皮質・海馬・線条体の形態を観察した。当該マウスの脳湿重量は対照マウスに比べが低いことがわかった。各部位の構造変化は検討中である。 (4)受容体作働性薬・拮抗薬による、神経症状の抑制効果の検定:当該マウスの神経症状に関連する情報伝達系の理解、ならびに抑制効果のある薬物の探索のため、NMDA受容体またはドーパミン受容体の作働性薬・拮抗薬、またはパーキンソン病治療薬を投与し、抑制効果を検定した。そのうち、NMDA受容体非拮抗的阻害薬にて神経症状が完全に抑制されることが明らかになった。 (5)特定神経細胞へのNMDA受容体変異導入マウスの作製:黒質線条体あるいは大脳皮質特異的に、Cre-loxP組換えにより変異を導入するため、当該部位にCre組換え酵素を発現するトランスジェニックマウスを用いて、特定細胞への変異導入マウスを作成した。今後、変異導入部位と神経症状との関連を観察する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 田中寅彦, 笹岡俊邦: "人工抗体テクノロジーの基本と医学への応用"生化学. 75巻12号. 1551-1555 (2003)
-
[Publications] Toshikuni Sasaoka, et al.: "Pathological analysis of muscle hypertrophy and degeneration in muscular dystrophy in gamma-sarcoglycan-deficient mice."Neuromuscular Disorders. Vol.13. 193-206 (2003)