2003 Fiscal Year Annual Research Report
高血糖とインスリンのいずれが糖尿病ラット心筋の活動電位延長をもたらすか?
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15500291
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
清末 達人 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (90128348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 均 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (70221166)
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Keywords | パッチクランプ / 一過性外向き電流 / 電位依存性カリウムチャネル / 高血糖 / ストレプトゾトシン / 糖尿病モデルラット / インスリン / 培養心筋細胞 |
Research Abstract |
平成15年度の科学研究費補助金によって主な設備備品としてデータ収集装置(AD Instruments社製PowerLab)を購入することができ、西南女学院大学保健福祉学部付属保健福祉学研究所の一部門として細胞電気生理学研究設備がほぼ整備された。パッチクランプ法を適用して、ラットより単離した心室筋細胞の一過性外向き電流(Ito)に及ぼすインスリンの効果について調べる研究に着手している。研究の第一段階としで、ストレプトゾトシン静注により膵島を破壊した糖尿病ラット(type1糖尿病モデルラット)の心室筋細胞の活動電位持続時間が対照ラットのそれに比べて著しく延長していること、また、細胞膜容量で補正したItoならびに定常状態外向き電流の電流密度が対照ラットのそれに比べて有意に減少していることが確認できた。目下、膵島破壊後、補充のためのインスリン静注を続けたラットから単離した心室筋細胞において、活動電位持続波形やIto電流密度がどの程度正常化されるかを調べる研究を進めている。次に分子生物学的研究において、ノーザンブロット法で調べたところ、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット心室筋では、対照ラットに比べKv1.2のmRNAが有意に減少し、kv1.4のそれが有意に増加していることが明らかとなった。また、平行して、糖尿病ラットの血液生化学的な基礎データの蓄積に努めており、膵島破壊後の血漿インスリン濃度の測定や、補充のためのインスリン静注後の血漿インスリンレベルの測定を行っている。本研究の本年度の研究実施項目にあるラット初代培養心室筋細胞標本については、本研究所の実験設備の整備計画とのかねあいで実施にはいま少し時間が必要である。。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 清末 達人: "心室筋活動電位波形に及ぼす血漿カリウム濃度の効果を再現する教育用シミュレーターの開発"西南女学院大学紀要. 8巻. 86-91 (2004)
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[Publications] 清末 達人: "心筋イオンチャネル電流と収縮張力に対するPDE III阻害薬シロスタゾールの作用"Therapeutic Research. 25巻4号. 101-106 (2004)