2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変による癌特異糖鎖抗原機能解析のための基幹糖鎖構造転換マウスモデルの確立
Project/Area Number |
15500298
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 憲佳 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教授 (50242524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 雅秀 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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Keywords | 糖転移酵素遺伝子 / 糖鎖抗原 / 癌特異抗原 / 基幹糖鎖構造 / ガラクトース / ノックアウトマウス / 化学発癌 |
Research Abstract |
細胞癌化の初期,細胞の無限増殖能獲得におけるβ4ガラクトース転移酵素(β4GalT)-Iの合成する糖鎖の役割を調べるために,β4GalT-I KOマウスの胚線維芽細胞を継代して不死化細胞株を樹立したところ,無限増殖能獲得後の細胞増殖速度上昇までの分裂回数に当初,差が見られたが,詳細に検討したところ差は消失した。また,β4GalT-I KOマウスの化学発癌由来腫瘍細胞や胚線維芽細胞へのβ4GalT-I遺伝子再導入によっても,無限増殖能獲得や増殖能への関与は見いだせなかった。また化学発癌剤により誘発したβ4GalT-I欠損腫瘍細胞株とその遺伝子再導入株における糖鎖抗原解析をレクチン染色により進めたが,欠損株においてもβ4位に結合したガラクトース糖鎖を検出しており,他のβ4GalTファミリー遺伝子により相補されている可能性が考えられた。一方,シアリルルイスX(sLe^X)等の白血球表面のセレクチンリガンド糖鎖はβ4GalT-I KOマウスで低下し,白血球の炎症部位への浸潤に影響していることが見いだされたが(Asano et al.2003),sLe抗原は代表的な癌抗原であり,β4GalT-I再導入腫瘍細胞株細胞表面におけるsLe^X(2型糖鎖)やシアリルルイスc(sLe^C;1型糖鎖)の解析を行ったところ,分子量約120Kおよび80Kに陽性バンドを検出した。通常は合成量が少ないとされる1型基幹構造をもつsLe^Cが検出されており,β4GalT-I KOマウスの腫瘍細胞において基幹構造が転換していることが示された。β4GalT-I欠損腫瘍細胞株への遺伝子再導入により,フィブロネクチン等の細胞外基質への接着性は変化しないが,in vitroでの走化性や浸潤性に差が見いだされており,β4GalT-I遺伝子による細胞性状修飾の原因究明には,さらに詳細な分子レベルでの探索の必要性を認めた。
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Research Products
(1 results)