2005 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血滋(ATL)治療薬効果検定のためのマウスモデルの開発
Project/Area Number |
15500300
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大杉 剛生 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助教授 (00211102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30182934)
浦野 徹 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90101899)
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Keywords | HTLV-I / ATL / mice / SCID mice / animal model |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia: ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell leukemia virus type I; HTLV-I)によって引き起こされる。In vitroにおいては有望な新規薬物が多数検討されているが、in vivoにおいてはその効果検定のための良い動物モデルが確立されていない。そこでATLモデルマウスの開発を意図した。 1.SCIDマウスの実験系 HTLV-1トランスフォーム細胞株のうち、Taxを発現していないMT-1およびTL-Om1細胞株は通常のSCIDマウスでは増殖しない。そこで通常のSCIDマウスよりNK活性が不安定なNOD/SCIDマウス、さらにH2クラスIを欠損させたNOD/SCIDβ_2KOマウスを用いた。MT-1およびTL-Om1を頚部皮下に接種したところ、明らかな腫瘍形成がみられたが、Tax発現細胞株のように各臓器への浸潤は観察されず、接種部位での限局的な増殖であった。以上のことから、血液等に腫瘍細胞が出現するATLモデルとして使用するためにはさらに改良を加える必要がある。 2.HTLV-I Tax遺伝子導入マウスの実験系 我々はすでにT細胞特異的にHTLV-I Taxを発現するトランスジェニック(Tg)マウスを開発した(平成12-14年度科学研究費)。これらは2系統あり、1つは胸腺特異的にTaxを発現する系(proximal)と末梢T細胞に特異的に発現する系(distal)である。この2系統のうちproximal-Taxマウスには皮膚病変が観察されたが、Tax発現との関連は明白ではなかった。一方、distal-Taxマウスにおいて、12ヵ月齢以降、関節炎とリンパ腫を各々20%発症するラインを見い出した。ただし、両疾患ともに発症するマウスは観察されなかった。発症前には胸腺と脾臓にtax遺伝子の発現を認め発症後では各病変部位よりtax遺伝子の高発現があり、導入したtax遺伝子の発現によるものであることが示唆された。サザンブロットにより導入遺伝子は20コピー前後であることが示され、関節炎およびリンパ腫の発症にコピー数は関係なかった。今後、遺伝的背景を含め、どういった因子が関節炎とリンパ腫の発症に関与しているのか検討する予定である。
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Research Products
(4 results)