2004 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌を用いたDNAワクチンデリバリー技術の開発
Project/Area Number |
15500301
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
芳賀 猛 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20315360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 義孝 宮崎大学, 農学部, 教授 (30142136)
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Keywords | DNAワクチン / 細胞内寄生菌 / Nramp-1 / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
1)β-galを真核細胞特異的に発現するpCMVβまたはpBRCMVβをもったサルモネラ菌をBALB/cマウスに経口投与すると、ELISA法により血清中に抗β-gal IgG抗体が検出された。しかし陰性対照としてβ-gal遺伝子を削除したpBRCMVΔならびにpCMVΔを作成し、同様の実験を行った結果、やはり抗β-gal IgG抗体が陽性になったことから、本検出法は非特異反応を検出している可能性が示唆された。2)接種マウスの脾細胞を用いて、β-gal刺激によるT細胞増殖試験を行ったが、いずれも陰性であった。3)マクロファージ内におけるサルモネラ菌の増殖を制御する因子として注目されるNramp-1遺伝子が免疫に与える影響を調べるため、C57BL/6マウス(Bcg^s)ならびにC57BL/6マウスにNramp-1遺伝子を導入したNramp-1コンジェニックマウス(Bcg^r)に、細胞内寄生菌の一種である抗酸菌を接種し、脾細胞より産生されるサイトカインを測定した。その結果、Bcg^sでは、Bcg^rより、RANTESやMIP-1αといったケモカインや、IL-12やIFN-_γといったTh1系のサイトカインの産生量が多く、前者は後者よりも細胞性免疫がより活性化されていることがわかった。4)最近、サルモネラ菌を用いたDNAワクチンデリバリーは、再現性が悪いという報告が相次いでなされており、本研究結果もまた、そうしたシステム系には改良の余地が数多く残されていることを示すもので、概出の論文についてはこの点を十分注意をして評価すべきであろうと思われる。β-gal特異的なT細胞増殖は検出できなかったものの、サルモネラ菌や抗酸菌のような細胞内寄生菌においてはNramp-1遺伝子の機能不全が細胞性免疫を誘導するのに有利に作用することが示唆された。これらの結果は、今後細胞内寄生菌を用いたDNAワクチンデリバリーシステムの開発に有用な情報を提供するものである。
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