2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500310
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
服部 一紀 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50312848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 啓一 三重大学, 工学部, 助手 (70252343)
河合 弘二 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90272195)
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Keywords | 尿管 / エラスチン / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
1.エラスチンマトリックスによる人工尿管の試作 動物体から抽出した水不溶性エラスチンを、熱シュウ酸分解処理で架橋構造を分解し水溶性エラスチンを調製した。化学架橋剤を加え管状の鋳型(内径3mm、外形5mm)を用いて成形加工し、人工尿管を作製した。初期に作製したエラスチンマトリックス人工尿管は、引っ張り弾性率が0.1M〜0.8MPaで伸縮率が100〜200%の伸縮性マトリックスとしては目標を達成したが、移植用人工尿管として生体と接合するためには、引き裂き強度に乏しく、実際に縫合上問題があった。そこで、エラスチンマトリックス材料の引き裂き強度を調節し補強するために、生体吸収性のポリ乳酸ナノファイバーを伸縮性に対応できるように蛇腹加工した構造体を作製し、エラスチンチューブ内部に一体化させた改良型人工尿管マトリックスを作製した。この改良により引き裂き強度が1.5MPaを達成し、縫合糸による生体内への導入が可能になった。更に予備検討として使用する複合ナノ繊維およびエラスチンマトリックスの各素材表面に、ヒト線維芽細胞を播種しin vitroでの細胞親和性を確認したところ、良好な細胞接着性を示す結果が得られた。 2.ブタ尿管置換モデル ブタ尿管部分置換モデルを作成するために、まず、ドナーより摘出した尿管組織を化学的に処理して細胞成分を除去した尿管無細胞マトリックスグラフト(Ureteral Acellular Matrix Graft : UAMG)を作成し、ブタ尿管を4cm切除した後の欠損部に縫合し置換した。1例目は手術合併症により術後4日目に死亡、2例目は、1ヵ月後の所見として作成したUAMGの萎縮と瘢痕狭窄を認めた。一方、上記方法により作成した人工尿管を用いた置換モデルは現在進行中である。以上より、1)尿管置換モデルの術式は概ね確立した、2)術後の瘢痕狭窄には、吻合部よりの尿逸流、グラフトの血流不足などが考えられ、この点について人工尿管を用いた場合も解決する必要があり、次年度の課題である。
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