2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールのラメラ幅によるリンパ球形質膜の脂質ラフト制御機構の解析
Project/Area Number |
15500329
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
阿部 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90212539)
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Keywords | PHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体 / ラメラ状ナノドメイン構造 / リンパ球 / 脂質ラフト / エンドグリコセラミダーゼII / スフィンゴ糖脂質 / GPIアンカー型タンパク質 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
細胞形質膜の脂質ラフトのスフィンゴ糖脂質の糖鎖をアクチベーターIIを含むエンドグリコセラミダーゼII(以下,EGPA)で選択的に除去するとグリコシルホスファチジルイノシトール(以下,GPI)アンカー型タンパク質の架橋によるシグナル伝達分子のSrcファミリーチロシンキナーゼの活性化が抑制されることが報告されている.この知見を踏まえ,我々は,親水性のポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(以下,PHEMA)のAセグメントと疎水性のポリスチレン(以下,PSt)のBセグメントからなるPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(以下,HSB)のラメラ幅16nmのナノドメイン構造表面におけるラットリンパ球の形質膜脂質ラフトからのシグナル伝達抑制機構をより明確にするために,脂質ラフトの外葉側に存在するGPIアンカー型タンパク質に着目した.PStおよびP(HEMA-St)(以下,HSR)表面を対照群として,ナノドメイン構造表面に対するEGPA処理および未処理のリンパ球の認識応答性を走査型電子顕微鏡にて解析した.リンパ球と材料表面との相互作用の解析はミクロスフィアカラム法を用いて行った.EGPA未処理の場合,PStおよびHSR表面に粘着したリンパ球は著しく伸展していたのに対し,ナノドメイン構造表面に粘着したリンパ球はコントロールリンパ球と同様に球状形として観察された.EGPA処理の場合,PSt, HSRおよびナノドメイン構造表面に粘着したリンパ球はコントロールリンパ球と同様にいずれも球状形として観察された.以上のことから,HSBのナノドメイン構造表面は,PStおよびHSR表面とは異なり,リンパ球の粘着面で脂質ラフトのGPIアンカー型タンパク質の集約を阻害し,このことによってSrcファミリーチロシンキナーゼの活性化を惹起しないことが示唆された.
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Research Products
(1 results)