2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮過程の非線形特性を考慮したニューロマスキュラーシステムのモデリング
Project/Area Number |
15500336
|
Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 正美 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (30149934)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 陽次郎 鈴鹿工業高等専門学校, 一般科目, 助教授 (20163701)
伊藤 明 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教授 (40259883)
|
Keywords | 脊椎動物 / 運動制御系 / 筋収縮 / 上腕二頭筋 / モデリング / 等張性収縮試験 / slow release試験 / 非線形特性 |
Research Abstract |
ヒト上腕二頭筋の随意運動時の基本収縮特性を実験的に調べ、その特徴について検討した。対象とした特性は、長さ-力関係、長さ-速度関係、力-速度関係の筋長依存性およびslow release特性であり、被験者の数は男女4名ずつ(いずれも20才)の計8名であった。長さとは二頭筋の相対長さであり、前腕屈曲角αが70゜(肘を伸ばした状態が0゜)のときL=1と定義した。αが小さいほどLが大きくなるという関係がある。 (1)長さ-力関係:等尺性最大張力は男女2グループ間で大きな差があった(男1100-1600[N],女500-800[N])が、長さ-力関係はほぼ同じような傾向を示した。最大発生張力は前腕屈曲角αが70-90゜(L=1.0-0.815)の範囲で最大かつ一定であり、α<70゜ではαが小さくなるにつれてほぼ比例的に低下する。また、α>100゜(L<0.78)でも漸次低下する。この傾向は筋線維の実験結果と類似であるが、変化傾向は比較的なだらかであった。 (2)長さ-速度関係:等張性収縮試験で荷重0のときの収縮速度V_0を筋の相対長さLに対してプロットすると長さ-速度関係が得られる。筋線維の実験ではV_0の筋長依存性はみられないが、本実験ではα=80-100゜(L=0.925-0.78)でほぼ一定であったが、α<70゜の範囲ではαの減少とともにやや低下する傾向がみられた。ただし、これは重力と前腕の質量の影響であり、上腕筋の本質的な特性ではないことを理論的に確認した。 (3)力-速度関係の筋長依存性:上腕二頭筋の力-速度関係はL=1.0近傍でほぼ直角双曲線となり、αが小さくなるにつれて直線に近くなる、つまり非線形性が弱まるという傾向がみられた。このことは、長さ-速度関係と同じく重力と前腕の質量の影響および長さ-力関係に規定される最大発生張力の低下の影響の結果であることが確認できた。筋線維を用いた実験と同様、力-速度関係の筋長依存性はほとんどないといえる。 (4)slow release特性:筋が受けた負荷履歴が発生張力の低下(force depression)を生じる「力の負荷履歴依存性」が生体中の筋肉でもみられるか否かを確認するための試験(slow release実験)を行い、筋線維と同様の現象が起きることが確認できた。force depressionの大きさは最大30%にも達した。
|
Research Products
(1 results)