2004 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を利用した悪性腫瘍治療法の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15500345
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中村 忍 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20019946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 眞一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (70209097)
神野 正敏 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30195185)
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Keywords | 超音波 / 悪性腫瘍 / 細胞死 / 抗CD20抗体 / 細胞増殖 / 細胞膜透過性 |
Research Abstract |
1.目的 超音波と分子標的治療薬の併用による新たな悪性腫瘍の治療法を開発する。 2.方法 (1)分子標的治療薬である抗CD20モノクローナル抗体(rituximab)と超音波との併用による細胞死の誘導 恒常的に細胞表面にCD20を発現している細胞株であるSU-DHL-4細胞を用いた。これにこれまでの実験で得られた至適濃度である1.0μl/mlの抗体を加えた後、超音波単独では細胞傷害を来たさない2種類の強度の1MHz連続波を20秒間照射した。照射後24時間培養し、フローサイトメトリー法を用いてearly apoptosisを測定した。 (2)超音波と抗体の併用による細胞増殖抑制効果の検討 培養72時間後と照射直後の生細胞率との比較を行い、細胞増殖率を検討して併用による細胞増殖抑制効果について観察した。 (3)誘導される細胞死のメカニズムの検討 細胞膜の変化、とくに透過性の変化について、照射前後の細胞内カルシウム濃度の測定を行った。 3.成果と臨床への応用に向けての検討 (1)超音波による抗CD20モノクローナル抗体効果の増強 超音波による増強効果が得られたが、その効果は超音波強度の低い(0.25W)でより高い傾向が認められた。このことは、今後超音波の強度(ワット)を選ぶ上で極めて重要な情報になると考えられる。 (2)細胞死の誘導効果 併用により、細胞死は増加したが相乗的な効果は得られなかった。このことから、今後効果的な併用条件の設定を探る必要があるのか、あるいは併用効果に限界があるのかを見極める必要がある。 (3)細胞増殖抑制効果 併用により細胞増殖が有意に抑制されることが明らかになり、臨床応用への根拠が得られた。 (4)細胞膜透過性への影響 併用により細胞内のカルシウム濃度の増加がみられ、細胞膜透過性の亢進作用が認められた。
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Research Products
(6 results)