2004 Fiscal Year Annual Research Report
再発癌症例に対するポルフィマーナトリウムを用いた超音波力学的治療法の臨床応用
Project/Area Number |
15500355
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山下 裕一 福岡大学, 病院, 教授 (50182506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 隆文 福岡大学, 病院・講師 (80209361)
星野 誠一郎 福岡大学, 医学部, 講師 (90352260)
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Keywords | 超音波 / 癌治療 / ポルフィリン / 消化器癌 |
Research Abstract |
目的:我々はポルフィマーナトリウムと超音波による超音波力学的治療法(Sonodynamic therapy : SDT)の癌治療への応用について、基礎的研究を行い、SDTの殺細胞効果について報告してきた。しかし、SDTの系統だった臨床応用についての研究はなされていないのが現状である。今回、消化器癌症例を対象としてSDTの臨床応用を検討し、更に超音波発振装置の改良を行った。 対象と方法:装置は、1MHz以下の周波数の超音波にその1/2波長の超音波を重畳させる超音波発信装置を使用し、ポルフィマーナトリウムの励起を効果的に行えるような超音波発信装置を作製した。消化器癌再発症例1例を対象としインフォームド・コンセントのもと臨床応用を行った。 方法は、ボルフイマーナトリウムの使用量は2mg/kgを静脈投与した.ボルフイマ←ナトリウムは光感受性薬剤であるため、静注後よ50ルクス以下の個室に収容し、静注後48〜72時間の間に超音波を同一部位に10分間づつ2回照射した。照射後1週間300ルクス以下の個室管理を行い、光過敏反応(手背を太陽光に5分間曝し、発赤の有無を見る方法)をみて2週間後に退院した。 結果:SDTの効果判定は、副作用、自覚症状、画像診断、腫瘍マーカー測定をもとに行った。第1に副作用は認めなかった。自覚症状は治療前下腹部痛の軽減を認めた.超音波検査では腫瘍内部の明瞭な構造変化が認められた。腫瘍マーカーは一時的な減少が見られたが、その後上昇した。 超音波発振装置の改良:平成16年度に作製した超音波発生装置は、所有していた0.9MHzの超音波発生装置に科研費購入のAG1006(T&C Co. USA)の超音波発生装置を組み合わせ作製した。しかし、今回の臨床経験から精度の高い重畳波超音波発生装置の作製が必要と考えられ、更に超音波発生装置AG1006を購入し、オシロスコープ観察下にAG1006の2台による重畳波作成を行った。 小括:超音波力学的治療法の臨床応用において副作用は認められなかった。今回の症例数は少なく抗腫瘍効果の判断はできなかった。今後、改良装置の使用による症例集積が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)