Research Abstract |
本年度は,鼻音性評価時に用いる検査用語句や例文を確定し,本学男子学生と老人大学参加者に協力を求め,鼻音性を示す平均Nasalance値の正常値を収集した。すなわち,検査用音節として,破裂音節(パ,ピ,タ,チ,カ,キ),摩擦音(サ,シャ,シ),破擦音(ツ,チ),及び鼻音(マ,ミ,ナ,ニ)の計15種を選定した。短文は,いわゆるprsssure consonants(p,b,t,k,s)を含む24単語と鼻音(m,n)を含む6単語を用いた短文計30種,長文は,破裂音の多い例文1「ちょうちょ」と摩擦音の多い例文2「汽車ごっこ」を選んだ。 これらの検査用例による鼻音性の基準値は,以下のとおりとなった。すなわち,音節パの基準値と標準偏差値(単位%)は12.9±9.2,以下同様に,ピ42.5±17.5,タ13.2±7.4,チ39,3±18.4,カ14.4±9.2,キ42.5±18、9;サ17.3±12.6,シャ18.0±13.3,シ35,7±16.1;チャ19.1±14.5,チ34.9±17.4;マ69.2±8.9,ミ88.2±4.5,ナ70.5±8.3,ニ88.2±4.3となった。短文は,両唇破裂音(p,b)を含む短文で18.8±7.8,同様に,歯茎破裂音(t)で12.9±5,1,軟口蓋破裂音(k)で14.1±6.2,摩擦音(s)で16.6±8,1,鼻音(m,n)で63.7±5.2となり,長文では,例文1で16.5±6.4,例文2で17.6±7.3となった。 この結果から,検査用例毎に平均Nasalance値を基準値(0)として中央に目盛り,1標準編値を1目盛りとして,中央値の前に閉鼻声にあたる-3,-2,-1,後に開鼻声にあたる+1,+2,+3を目盛ったプロフィール方式による評価法を作成した。 次年度は,実際の開鼻声を示す患者に本判定法を試用し,本法の改善に努めたいと考えている。
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