2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500378
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
渥美 恵美 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 講師 (20326747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
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Keywords | 作業療法 / 精神障害 / 社会適応 / 評価法 |
Research Abstract |
2段階OT評価理論に基づいて作成した尺度ASOPT(渥美・大渕、2002)を用い、作業療法(OT)で患者が示す適応行動の分析を試みているが、本年度は自己効力感の高い患者ほどOT場面において適応行動が高く評価されるかを検討した。精神科入院患者60名に自己効力感を自己評定させ、彼らが参加した2週間後のOT行動をOTRと患者自身に評定させた。自己効力感の測定は成田ら(1995)をもとに9項目作成した。作業遂行評価では山根(1997)をもとに、他者評価用には認知、自己制御、動機づけ、対人関係、運動機能の5側面を評価する19項目を、自己評価用には自己制御、動機づけ、対人関係と成果の10項目を作成した。社会適応機能評価ではADL、対人関係、個人的要因、問題行動を評価するASPOTのO尺度(64項目)を用いてOTRに評定させた。他者評定は5段階(1-5)、自己評定は3段階(1-3)である。自己効力感の平均値はやや低めだつた(2.78)。他者評価尺度の得点は2名のOTRの平均とした。作業遂行他者評価では動機付けと対人関係が自己効力感と正の相関を示し、ASPOT O尺度ではADL(発展)、対人関係(基礎)、対人関係(発展)が自己効力感と正の相関を、問題行動(精神と身体)が負の相関を示した。他者評価に用いたほとんどの下位尺度が予測された方向で自己効力感と関連していたことから、患者の自己効力感がOTの効果を促進する心理的要因であると推論できる。一方、作業遂行自己評価は他者評価とも自己効力感と全く相関が見られず、患者の作業自己評価は信頼性が低いことがうかがわれる。また、作業遂行の他者評価とASPOT O尺度の間には全下位尺度間に全て有意な相関が見られたことは(-.24〜.70,p<.01)、OTRがOT場面での作業遂行の量と質を考慮に入れて患者の社会適応機能を評価していることを示唆している。
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Research Products
(2 results)